3匹に共通していた“幼い”年齢

新江ノ島水族館のサイトには、生まれた時の姿が載っている
新江ノ島水族館のサイトには、生まれた時の姿が載っている
【写真】アザラシ「ココア」の生まれた時の姿

 3匹に共通していた“幼い”という年齢に関して、輸送の負荷を心配する声が上がっているが――。

「生まれて1年に満たない子どものアザラシは、けっこう死んでしまうことも多いんですが、1歳まで生きたというのは強い個体と言えます。ココアも1歳まで育ったアザラシなので、割と強いほうだと思うんですよね。目的が繁殖なので、その繁殖年齢になってからいきなり移動するよりは、ある程度、輸送先の環境に慣れた上で繁殖させたほうが負担が少ないという考え方なのかなと」

 また、アザラシという名前で1つにくくられがちだが、アザラシの種類によって性格もかなり異なるそう。なかでもココアやジャンボが該当するゴマフアザラシは、環境の変化には比較的強いという。

「ゴマフアザラシは自分から新天地などを見つけていく“開拓精神”が強い種類です。そういう意味では、いちばん環境の変化には鈍感で影響を受けにくいと思います。対してワモンアザラシは敏感ですね。また、行く先の水族館に先住のアザラシがいる場合は、それらのアザラシとの相性なども重要になってきます。そういった意味で、結局は個々の問題になってくるところはあります」

 人間同士に相性があるように、アザラシ同士にも相性はある。ミゾレの事故の原因についてはすでに詳細なレポートが公開されており、その中には水族館の努力が記されている。

「報告書には、移動前から小樽水族館の担当スタッフが海遊館へ出向きトレーニングをしたり、移動した後も海遊館のユニフォームを着て飼育管理に当たるなど、彼らにストレスを与えないような環境づくりをしようと努力していることが伝わります。そうなってくると、あとはその子が何にストレスを感じるのか次第なところがありますから、精いっぱい努力はしたけれど、それでもうまく適応できなかったのではないかと思います」

 今後の対策についても聞くと、次のように解説してくれた。

「輸送に関しては、寒い時期に移動させたり、通気性のいいゲージを用意するなど、注意を払うに越したことはありません。ココアなどはちゃんと寒い時期に移動させていますよね。ジャンボのように熱がこもってしまったというのは、いちばんやってはいけないことだと思います。また、年齢に関しては、1歳でもすでに十分ではあるのですが、3歳ぐらいまで待ってもいいのかもしれないと個人的には思いますね。しかし、水族館も最善は尽くされてきているというのは感じています」

 日本でも人気のあるアザラシ。今後、より多くのかわいらしい姿に会えることを私たちは祈っている――。