節度を守った距離感が大切

 もちろん、旧友とも“新たな縁”をつなぐことはできる。

何年も連絡が途絶えていても、ふと“会いたいな”と思う人がいたとします。あまりに久々だと、大きなきっかけがなければ連絡しずらいかもしれませんが、話してみたいなと思えば気軽に連絡を取ってみては。向こうから連絡もないし、忙しいだろうし……と思っているだけでは、会う機会もないままその“縁”が切れてしまいます」

 大切なのは自分の気持ちや現状を、見栄を張らずに素直に伝えることだ。

 新たな縁でも、旧友でも、つながりを持てた場合、それを育むために、気をつけるべき点があるそう。

「熟年になってからの人付き合いで大切にしたいのは、お互いにとって節度を守った距離感を保つこと。若いころは、秘密を共有したり、自らをひけらかすことで深い関係を築こうとすることもあるかもしれません。

 しかし、この年代になると皆、さまざまなことを抱えているはず。ずかずかとプライベートゾーンに踏み込んでしまうような会話を続けてしまうと、関係は壊れやすいです

 では、お互いにとって“ちょうどいい距離感”とはどういうものなのか。

人はそれぞれ、他人との関係性を保つために、間合い(領域)をとっています。いくら昔ながらの関係であっても、たわいもない会話から“この人はここまで言われたら嫌かな?”と想像することも大切。

 例えば、良かれと思ってのアドバイスや励まし、頼まれてもいない行為など、気遣い“してあげている”と思いがちなこれらは、相手の間合いに勝手に踏み込んでいることになるかもしれません。自分が良かれと思っていても、相手の本意は違っていることもありますから。手伝いましょうか?と声をかけて、相手が大丈夫と言ったら、それ以上は踏み込まない。過剰なおせっかいは控えて、相手を尊重する関係性をつくれたらいいですね」

 そしてそれは、自分がされる場合でも同じ。

誘いを断ったら悪いからと、無理に相手に予定を合わせたりすると、疲れてしまいますよね。そうならないためには、相手を尊重しつつ、NOもちゃんと伝えられるようになりましょう。そして相手のNOも快く受け入れる。そうやってそれぞれのフィールドに無理に立ち入らないようにすることが理想的

 家庭、親の介護などを経る中で、時間や気力が限られ、人付き合いがゆるやかに選別されていくのは自然な流れ。この世代の友情は「いつも一緒」ではなく、「気が向けばつながる」関係を大事にしたい。

 友達は遮二無二増やすものではなく、形を変えて関わり続けるものだと捉え直す──。人間関係を数や濃さで測るのではなく、心地よさで受け止める視点こそが、ひとり不安を静かにやわらげてくれるのだ。