2歳までの生存率は50%
「泣いてばかりいても、息子の病気は変わらない。ネガティブに考えるよりも、受け入れようと思いました。息子や妻のために、自分にできることは何でもしたい、という気持ちでした。
一方で、先生に言われてショックだったのは、『もしかしたら、この子は長く生きられないかもしれない』という言葉。2歳までの生存率は約50%。根治的な治療法がないことは、かなりつらかったです」
しかし、正輝さんは、自分でいろいろ調べていくうちに、海外では薬の治験が進んでいることを知る。
「動けなかった子どもが、歩いたり、乗馬ができるようになっている動画を見て、息子も治る可能性はゼロではないと。妻と僕にとって、それは希望になりました」
また、新井さん夫婦にとって、もうひとつの支えとなったのが、SNSやブログでの発信。
「同じような障害のある方たちと交流できればと思い、息子の成長をネットで公開しています。寄せられる応援の言葉のなかには“実はうちも……”と、家族に何らかの障害や疾患があることを、打ち明けてくれる人が、少なからずいました。まだ気持ちが落ち着かない時期でしたが、そうした連絡をもらったり、優しい言葉をかけてもらえたりして、すごく励みになりましたね。
知人のひとりが同じような境遇で、『最初から受け入れられる親はいない。でも、時間をかけて受け入れられなかった親もいないんだよ』と言ってくれたんです。時間がたつにつれて、その言葉の意味がわかってきて、少しずつ前を向けるようになりました。発信することで、いろいろな人に話を聞いてもらえて、本当によかったと思っています」
富士くんの入院中から、自宅での医療的ケアの準備を整えていく正輝さん。やるべきこと、用意するものなどを表にまとめ、同時に人工呼吸器の扱い、吸引の仕方や経管栄養チューブの挿管などの練習を繰り返した。
2023年1月に退院。自宅でのケアがスタートするが、正輝さんは妻や息子が家の中に引きこもらないように、なるべく外出することを心がけた。
「ケアのための持ち物が多く、忘れ物をしてはいけないので、リストを作ってチェックしています。準備を考えるとおっくうになってしまいがちですが、息子にとっても外出することがよい刺激になっていると思います」











