目次
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ー “重ね打ち”はセルフレジ万引きの定番
Page 2
ー “セルフレジ導入後に万引きが増えた”と答えた店は25%
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ー 不正利用を防ぐ未来型システムも

 

 大手スーパーなどではセルフレジによる会計が当たり前になった。客の手ですべてが完結するため、システムを悪用した万引きは後を絶たない。現役の万引きGメンが明かす手口と、万引き犯に間違われないために、私たちができることとは─。

“重ね打ち”はセルフレジ万引きの定番

 店を出たところで従業員に呼び止められたのは、札幌市在住の無職の女(58)。市内のスーパーで3月1日午後2時過ぎ、セルフレジを不正利用して“万引き”したとして窃盗容疑で現行犯逮捕された。

 盗んだのは、最も高額なサーモンの刺身(1500円)のほか、ホタテとツブ貝の刺身、シャンプーなど計8点で9174円相当。女は「生活費を使うのがもったいなかった」と容疑を認めており、1万5000円を所持していたという。

 不正の手口は、商品を重ねて持ち、上にある商品のバーコードだけスキャン。スキャナーを通していない下の商品も一緒にエコバッグに入れるというものだった。なんたるズル賢さ。

 キャリア27年目の万引きGメンで万引き対策専門家の伊東ゆうさんは、こうした手口について次のように説明する。

“重ね打ち”という手口です。“2個持ち”とも呼んでいて、両手で2つの商品を持って1つしかレジを通さない。物を隠すのと同じで、正しくスキャンする商品の陰でもうひとつの商品を盗むんです。セルフレジ万引きでは定番の手口といえます

 店舗規模やレジ数にもよるが、セルフレジコーナーには1人か2人は客をフォローする従業員が立っていることが多い。購入する商品のバーコードをスキャンすると、「ピッ」と大きな音がして商品が登録されたことが周囲にもわかる。

 無音で未会計の商品をエコバッグに入れるとさすがに怪しまれるため、このような小細工をするのだろう。ほかに、どのような手口があるのか。

「最近目につくのは“単品スキャン”ですね。例えばビールの6缶パックなどでパック用バーコードをスキャンせず、1缶ずつに印字されている単品バーコードをスキャンするんです。支払いは1缶分だけですから残り5缶分は盗まれてしまう。

 さらに“もやしパス”という手口もあります。安価なもやしのバーコードを切り抜いた“パス”を持参し、手のひらなどに隠して商品の代わりにスキャンするんです。もやしに限らず、1個売りのまんじゅうや9円の駄菓子のバーコードを悪用した“パス”もありました」(伊東さん、以下同)