さらに、そこに暮らす人のリアルな空気感に触れられたこともひとり旅の発見だった。
家族や友人との旅行に『前乗り』することから始める
「体操をしている地元のおばあちゃんや、通勤や通学中の人たち……。普段の観光では目に入りにくい、その街の『素顔』が見られたのは早朝ならではの醍醐味でした」
かくして、ひとり旅の魅力にどっぷりハマっていった山脇さんに、初心者向けの旅の「始め方」を伺った。
「まずは、家族や友人との旅行に『前乗り』することから始めるのがオススメ。本来の日程より1~2日早く現地入りするんです。後からみんなが来るとわかっているので寂しくないですし、ロケハンのように下調べができるので、合流後においしい店や穴場を案内して喜ばれるというメリットもあります」
一方で、「後泊まり」は推奨しないという。
「理由は2つ。1つは、楽しかった時間のあとにひとりで残るのは寂しさや心細さがあります。もう1つは、家族から『お母さんだけズルい』と恨まれやすいから(笑)。でも、前乗りなら、みんなで一緒に帰宅するころには、先にひとりで楽しんでいたことなんて、家族の記憶から帳消しになっているんです」
また、実家への帰省のタイミングで、近くの街や途中の街に1泊してみるのも手。これなら家族内での軋轢も少なく、最初の一歩を踏み出しやすい。さらに、「旅の目的は“ひとつ”でもいい」と山脇さん。
「気になる雑貨屋さんやパン屋さん、レストランやお寺……。目的がひとつでも、その周辺を歩くことで好みの店に出合えたり、新しい発見があります。私はよく、『ひとり旅は自分との二人旅』と言っているのですが、寂しいときや何かに迷ったとき、常に“自分”と相談します。家にひとりでいるときは自分と対話することは少ないのですが、旅に出ると不思議ですね。そうやって自分と対話するうちに、自分の本当に好きなものにも気づけたんです」
例えば山脇さんがひとり旅を通じて「好き」と気づいたものに、今まで知らなかった大阪の日本画がある。
「国内外の美術館でさまざまな絵画を見てきましたが、大阪の中之島美術館で見た日本画に深く感動して。そのときは、気づけば5時間も滞在していました。誰かと一緒だと感想も上書きされたりしますが、それもなく好きなだけ楽しむことができました。そもそもそんなに長時間はなかなか許されないですよね(笑)」
すべての行動を、自分で決められるのがひとり旅の利点。
「出かけるのが嫌になったらホテルにこもってもいい。迷ったら自分と相談して、心の向くままに過ごします」
旅の行き先に迷ったとき、山脇さんが基準にしているのは次のポイントだ。
「公共交通機関が発達していて、歩いてまわれる街。特にバスは、外の景色も見えるので、気になるところで途中下車できるのも楽しい。暮らしている人と同じ目線になれるのも好きなところです」

















