愛子さまが次世代への架け橋

 当時、訪問先となった岩手県大船渡市の復興商店街「キャッセン大船渡」の代表・田村滿さんは、両陛下を迎えた日の思い出をこう振り返る。

「私の妻は社会福祉協議会の会長を務めており、商店街の中に共生型住民拠点として『にこにんプラザ』という場所をつくりました。雅子さまから『どのような施設なのですか』とお尋ねがあり、妻が中をご案内したのです。室内には地域の方々が手作りした手芸作品などを展示しており、雅子さまは『ここにいらっしゃる方々が作られたのですか』と興味を持ってくださいました。両陛下の穏やかさ、そしてにじみ出る品格に、終始身の引き締まる思いでした

 同じく商店街にある生花店「加茂ガーデン」の志田宏美さんは、陛下からかけられた言葉を今でも鮮明に覚えているという。

「震災で被災したリヤカーや三陸鉄道の枕木を、花台として店で使っていることをお伝えしたところ、とても熱心に聞いてくださいました。その際、『ヨーロッパのお花屋さんのようですね』と声をかけていただき、手探りで店づくりを続けてきた日々が報われたような気持ちになりました」(志田さん、以下同)

 今でも地震や津波警報で、当時のつらい気持ちがよぎるという志田さん。ご一家の訪問は励みになるそう。

「花屋として日々の暮らしに寄り添う中で、震災以降は“当たり前の日常が続くこと”のありがたみをより強く意識するようになりました。節目の年に訪れていただくことは、積み重ねてきた時間を見守っていただいているように感じ、“これからも前を向いて歩んでいこう”という励みになります

 愛子さまが東日本大震災の被災地を訪問されるのは今回が初めて。背景には、陛下の強い思いが垣間見える。

2月23日の陛下のお誕生日会見では、戦後80年の節目の年として行われた慰霊の旅に愛子さまが同行されたことに触れ、『戦争の記憶と平和の尊さを次の世代へ引き継いでいく役割を愛子にも担ってほしい』と述べられています。

 被災地の訪問についても『これからも被災地の人々に心を寄せていってもらいたい』と言及されており、愛子さまが次世代への架け橋となることに強い期待を寄せていることが伝わります」(前出・皇室担当記者)