「もう20年以上前のことになりますね。ヨン様(ペ・ヨンジュン)の作品は、映画も含め、かなりの数の吹き替えをやらせていただきました。ある時期('07年のドラマ『太王四神記』)以降、あまり作品に出演されなくなって、仕事がなくなりましたけど(笑)」
そんな冗談でインタビューの場を和ませてくれた萩原聖人。韓流ブームを巻き起こした『冬のソナタ』が日本特別版映画として公開されていることを伝えると、懐かしそうに語ってくれた。
デビューから40年の萩原聖人、守るものがない男の行く末を演じて
デビューから40年。常に作品が絶えず、主人公としても欠かせない存在となった。その萩原が主演する映画『月の犬』が4月24日から公開される。ジャパニーズ・ノワールの復活のような“カッコいい男”を描いた作品だ。
「ずっと挑戦してみたいと思っていた世界観の作品でした。そして、監督が僕にこだわってくれたと聞きうれしかったです。気持ちが引き締まるというか、新たなスイッチが入るような、いろいろな思いが交錯する感覚を覚えましたね」
萩原が演じるのは、最愛の妻を失ったことをきっかけに裏社会から離れ、ある街に流れ着く東島。偶然入ったバーのママ・沙織(黒谷友香)に気に入られた東島は、彼女が関わる仕事に巻き込まれていく。
「“ジャパニーズ・ノワール”を言葉で表現すると“色気”や“渋い”“暗い”ということだと思うんです。それって、単純にカッコいいじゃないですか。
今も変わらず俳優をされている方々がたくさんいらっしゃいますが、(極道やヤクザを題材にした)Vシネマ全盛期を支えたみなさんは、すごくカッコよかった。カッコいいからこそ面白いし、成立していた部分が多大にあったと感じています。今作は、そのころのVシネマの良さを今の時代に沿う形で映画にしたものですね」
スクリーンの東島は目に光がなく、生きることを諦めているように映る。萩原自身、演じた役をどう受け止めたのだろうか。
「東島は失うものがないのではなく、守るものがなくなってしまった。守るものの大きなものに家族があり、自分がある。多くの人は、自分を守って生きていると思います。自分がなくなるということは、痛みという感覚がなくなるんです。何に対しても。痛みを持たない生き方をしているのが東島。作品には、ほかにも彼のような生き方をしている人物が何人も登場します」
印象的なシーンのひとつに浴室の場面がある。シャワーを浴びる東島の背中一面には刺青が。
「そういったシーンをぱっと見たときに何を思うか、何を感じていただけるのかが僕と監督の共通のテーマでした。(セリフ・説明を最小限にしたことで)興味を持っていただけるか、その逆か。“ベタなことやってる”と思われるのか。単なる印象だけでは片づけられないシーン、作品になったのではないかとは思っています」
演じた東島を「運がない男」と語る。萩原自身と重なる部分があるかを聞くと、
「形はどうであれ、あんなふうに誠実に生きることへの憧れはあります。人は、自分をごまかし、生きるためにズルくなるときがある。しかし、東島にはそれがない。
“だからそうなるよね”と悲しい気持ちにもなりましたし、そういうことが“運がない”につながってしまうのかもしれない。そもそも彼は運を求めていないんです。実は、人としてものすごく誠実でちゃんとしているのに、運がないとしか言いようがないですよ」






















