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ー テレビ局のウィンウィンな番組

 Mrs.GREEN APPLE(以下、ミセス)の冠番組『テレビ×ミセス』(TBS系)が、4月6日から始まった。人気バンドが主役の番組、どれだけ音楽に染まっているのかと思いきや─。

テレビ局のウィンウィンな番組

《みんな粉まみれで白くなってておもしろかった》
《アーティスト特有の寒いコントするんかな、くらいでみていたけど……》

 というSNSの書き込みのとおり、芸人と絡んで身体を張った企画に挑戦したり、ある意味、過酷なバラエティー番組。もともと、昨年の6月と11月に特番として制作されたコンテンツだが、反響の大きさを受けて夜8時55分スタートという、ゴールデン帯レギュラー番組への“昇格”となったのだ。

「YouTube配信をテレビ局のスタジオを使ってやっている感じ。すごく不思議な番組になっていますね」

 と、芸能評論家の宝泉薫氏は番組の第一印象をこう話す。

「ただ、番組内の企画としては『SMAP×SMAP』や『学校へ行こう!』の焼き直しという感じ。ロック好きな人から見れば、“テレビでチャラチャラしやがって”という意見も当然あるでしょうけど、そういう人はもともと、硬派なロックではなく、みんなでわちゃわちゃ楽しもう、というミセスの曲を聴かないだろうし(笑)」

『日本レコード大賞』で3連覇の大賞受賞、『NHK紅白歌合戦』ではトリを飾るほどの実力を誇るミセス。わざわざバラエティーに出演する必要もなく、音楽に専念できる立ち位置だと思うのだが、

「“広く浅く、裾野を広げる”といった自分たちのファン以外の層に訴えかける、という場と考えると、テレビはまだこういう使い方ができるのか、と教えられた気がします。

 テレビ局にしたら、数字がそこまで取れるか微妙かもしれないけど、好感度が高くて人気がある、テレビ的に新鮮なミセスが出てくれるというのは、スポンサーを説得するにはピッタリじゃないですか。ミセスとテレビ局、ウィンウィンですよね」(宝泉氏、以下同)

 また、バンド内の“メンバー格差”の是正にも一役買っている、と宝泉氏はこう続ける。

「キーボードの藤澤涼架さんは日曜劇場『リブート』に出演したり、ギターの若井滉斗さんは音楽バラエティー『M:ZINE』のMCをしていますが、作詞作曲をしてボーカルの大森元貴さんは、バンド以外でも役者として朝ドラ『あんぱん』に出演するなど、3人の中で一般的な知名度はいちばん高いです。

 そんな中で『テレビ×ミセス』のように3人が一緒に出るバラエティーなら、それぞれのキャラがファン以外の視聴者にわかりやすい。それぞれがバンドで“大森さんじゃない人”ではなく、名前で覚えられるというメリットがあります」

 そして、バラエティーが“本業”でないからこその強みがある。

「番組がまったく当たらなくても、あのときはこんなことしてたね、と振り返って自虐的に話せますし、ライブのMCやラジオなどでのネタにもなる。逆にメンバーのバラエティー力が上がれば、それは“武器”になります」

 賛否両論の中始まった、ミセスの番組は、新たな“アーティスト番組”のパイオニアになるか?


取材・文/蒔田稔