つながり広がる、新たな活動と場づくり
音に敏感で人混みが苦手な陽月くん。変化を感じとり、パニックになってしまい、雅奈恵さんや幼稚園の先生にかみついてしまうこともあった。
「言葉でうまく伝えられない分、手が出てしまうんですよね。でも、子どもには絶対に手を出すことはありません。私だったり、先生だったり、その場のリーダー的な存在の人に自分の気持ちを伝えたくて主張した結果、かみつきになってしまったのだと思います。
私たちは大きくリアクションせずに、落ち着いて優しく痛かったよと伝え、諭します。陽月がそのことで、自分を責めて、自分を叩いたり自傷してしまうことがないように……」
陽月くんをきっかけに、陽月くんのような特性を持つお子さんがいるご家族との交流も生まれている。
「療育で知り合ったお母さんたちは、同じような悩みを相談したり、気持ちを吐き出したりできる相手です。ウンチを部屋につけてしまう子を追いかけながら、お湯と漂白剤で掃除したり……なんて話は、やはり体験している人でないと、なかなかできないですから。子育てが一段落したら『みんなで飲みに行きたいね』なんて話しています」
主宰するフラとタヒチアンダンスの教室では、陽月くんのような子どもを対象にしたクラスもスタートさせた。
「療育で知り合ったお友達が、通ってくれることもあります。陽月もハワイの音楽が好きなんですよ」
雅奈恵さんや、特性のある子どもたちを育てる母親たちにとっては、子どもたちは皆「私たちの子」という感覚なのだという。
「みんな、かけがえのない存在。穏やかで優しい、平和的な存在であることを伝えていきたいですし、彼らを守りたいという思いが、私のさまざまな活動のモチベーションにもなっています」
また、雅奈恵さんが手作りのお菓子でもてなすカフェにも、障害のある子どもたちと、その家族が訪れることがあるという。
「普段は子連れでカフェに行くのが難しいという方が訪れてくださって。微力ではありますが、そうした場をつくれることがうれしいですね。こうしたコミュニティーの輪が広がっていけばいいなと思っています。
陽月からは、毎日たくさんの幸せをもらっています。日々の出来事や、そこで感じる感覚、人との出会いもすべて、陽月がいたからこそのギフトだと思っています」
取材・文/小林賢恵

















