こじれた人間関係が介護や医療の質を下げる
2つ目のカギは人間関係だ。
「身近な人とのつながりが安定している人ほど、穏やかな老後を過ごせています」
パートナーや親子関係のこじれが原因で、経済的に余裕があっても、心から安心できる介護や医療を受けられなかった高齢者の姿も見てきたという。
「人間関係は、相手が変わってくれるのを待っていても始まりません。日常の声かけや感謝のひと言、思いやり。その積み重ねが老後を支える人間関係の資産になると考えてほしいですね」
老後に失われやすいものの代表が「生きがい」だ。退職後など、人から必要とされる機会が減り、生活の張りをなくしてしまう人は多い。外出が減って、認知症に進むケースもある。
「好きで続けられるなら、仕事をそのまま生きがいにしてもいいでしょう。でも、仕事にこだわる必要はないと思います。地域の自治体や趣味のサークルなど、誰かとつながって必要とされる場があれば、それも生きがいになってくるはずです」
生きがいを見つけやすい人の共通点は「自分から動けるかどうか」。積極的な人は、生きがいづくりが上手だという。
最後のカギとなるのは「終のすみか」。「最期まで自宅で」と望む人は多いが、夫婦どちらかが病気になれば老老介護になり、いずれは限界を迎える。「子どもと住む」選択肢も、子世帯側の事情を考えると当てにしすぎるのは危険だという。
「高齢者施設は介護が必要になってから探しても、納得のいく施設が見つからないことが多いので、元気なうちから情報収集をしておくことが肝心です」
自立できるうちは「シニア向けマンション」、介護が必要になったら「介護付き有料老人ホーム」などと、2段階で考えておくのが賢明だ。
「50代から少しずつ備えておけば、本当に幸せな老後生活が送りやすくなります」
未来の安心のために、今からできることを始めたい。

















