自力で動けるならば、内科または救急外来がある病院やクリニックで受診を。
「高齢者は体調の悪化に気づかず、意識不明で救急搬送されるパターンがほとんど。迷ったら自治体が運営している救急相談センターに電話してもいいですし、自己判断は厳禁です」
ミドル世代の女性も熱中症リスクが高い
特に高齢者は節約意識からエアコンの冷房機能を使いたがらない人も多い。熱中症による救急搬送数の約6割が高齢者だ。また、約4割は室内で発症しているというデータもある。
「高齢者は暑さや喉の渇きを感じにくく、冷房をつけなかったり、水分不足に陥りやすい。ほかにも子どもやミドル世代の女性も熱中症リスクが高いです」
子どもは身体に必要な水分量が多い分、少しでも減ると脱水症状が出やすく、ミドル女性は更年期症状による自律神経の乱れで体温調節がうまくできず、熱がこもりやすい傾向がある。
「熱中症のリスクは、『脱水の自覚がある』『睡眠不足』『食欲不振』『疲労感』『精神的なストレス』の5つの要素があると上がることがわかっています。このことから、脱水に注意し、食事と睡眠をしっかりとり、疲労や精神的ストレスをためない生活を心がけたいですね。さらに肥満や運動不足もリスクを高めます」
暑さでどうしても食欲がわかない人は、漢方薬に頼るのも有効な手段だ。
「五苓散や清暑益気湯など、夏バテに効く漢方もあり、それで食欲が戻ることも多いです。心配のある人は今のうちにかかりつけ医に相談してみましょう」
意外にも、美容や健康面で注目される「腸活」は、熱中症の重症化予防にも効果が見込める。
「熱中症で腸内が高温にさらされ、腸内に悪い菌が増加。するとそれが体内をめぐって全身に炎症反応を起こす『敗血症』になりやすい。ヨーグルトや発酵食品など、腸にいい菌が含まれる食品を積極的にとることは重症化予防につながります。4週間以上は摂取し続けたほうがベター」
市販の冷却グッズも上手に活用したい。
「ハンディタイプの扇風機は、気温が暑い中でそれだけで使っても意味がないと、WHOが警告を出しています。使う際はミストなどを併用すると、気化熱で温度を下げやすいですよ。ネッククーラーは首の太い血管を冷やせるので効果的です」
できることから始めて、熱中症を予防しよう。
取材・文/遊佐信子
伊藤大介先生 一之江駅前ひまわり医院院長。東京大学医学部卒業後、複数の医療機関勤務を経て現職。近著に『総合診療医が徹底解読 健康診断でここまでわかる』(文藝春秋)

















