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【写真】還暦を迎えて「ボロボロ」も、スタイルを保ち続ける大槻ケンヂ

ロックバンドにはレガシーがある

 大槻は筋肉少女帯で『50を過ぎたらバンドはアイドル』という歌を歌っているが、年齢とともにファンとの接し方も変わってきた。

「最近サイン会をすると、病気や介護、死別とか、身の上話を語り出す人が増えて、NHKの番組『ドキュメント72時間』を生でやっているような感じに。僕は『いろいろあったんだね』と受け止めています。

 昔はファンサービスなんて、『俺はロックミュージシャンだ! そんなミーハーなことはできるか』と突っぱねていましたが、50を過ぎるとファンの方がバンドに求めるのは推し活です。それに応えるのが僕らの務めであり、ツーショット撮影も求められればやりますよ。

 だんだん残り少なくなっていく人生、これからはファンミーティングを増やして、皆さんと触れ合う時間を増やしていこうと思っているところです」

 もちろん筋肉少女帯を主軸に音楽活動はしっかり行っていく。

「これからは作品を増やすより、ライブを増やしたい。これまで発表してきた40枚近くのアルバムを一つずつ丁寧に再現していく『再現ライブ』も考えています」

 今年はLUNA SEAのドラマー・真矢さんが56歳で亡くなったが、加齢とともに健康問題を抱えるミュージシャンも増えてくる。今後、大槻が力を入れていきたい分野に「ロックバンドの終活」があるという。

「ロックバンドにはレガシー(遺産)があるんですよ。作品やブランド、権利をメンバーが亡くなった後も守っていくにはどうすればいいのか。作品が適切に守られて、ファンに届け続けられる仕組みをつくることを考えています」

 プライベートでは「ヨガ」に興味を持っているという。

「お酒を飲まなくなると夜にやることがないんです。身体はボロボロで、格闘技や武道のような激しい運動はできないので、ヨガならできるかなと。片岡鶴太郎さんのようなストイックなスタイルを目指しているわけじゃないですよ。

 あとは昭和の特撮作品の鑑賞です。映画も好きだったんですけど、2時間は長いと思うようになってしまって。でも昭和特撮なら30分で終わるんです。だからあと10年はこれで楽しめるぞと。オカルトやUFOも大好きなので、引き続き研究して、仕事にも生かしていきたいですね」

 円熟味を増した大槻が、どんな60代の生き方を見せてくれるのか楽しみだ。

おおつき・けんぢ 1966年、東京生まれ。1982年ロックバンド「筋肉少女帯」を結成し、1988年にメジャーデビュー。2000年より「特撮」のボーカリストとしても活動。タレント、エッセイスト、小説家としても活躍し、小説『くるぐる使い』『のの子の復讐ジグジグ』で星雲賞を2年連続受賞。『グミ・チョコレート・パイン』など映画化作品も多数。ソロ、バンドでのライブを精力的に行っている。

取材・文/紀和 静