麻生太郎氏の妹も“男系男子の養子”の養親候補に

 思い起こされるのは上皇陛下のビデオメッセージを発端とした「生前退位」。その際は特例法により皇室のあり方に手が加えられた。

「当時の安倍政権は圧倒的な力がありましたが、大島理森議長・川端達夫副議長がリードして立法府の総意を重んじるよう内閣に強く求め、最終的にその通り決しました。今回の強引な進め方とは、プロセスが全く異なります」(馬淵氏)

 批判を浴びながらも改正を目指す背景には、高市総理の思惑があると馬淵氏は指摘する。

高市総理は“戦後初の皇室典範本則改正”を成し遂げ、さらに憲法改正へと繋いでいきたいのでしょう。日本国憲法2条には『皇位は、世襲のものであつて』と明記されていますが、最終的にはここを典範記載と平仄(ひょうそく)を合わせることも考えているのではないでしょうか。今回の2つの案の見直し時期は30年後とされているため、制度が固定化され安定的な皇位継承問題の解を先送りしている間に、憲法改正まで一気に行くつもりではないでしょうか

 多くの疑問を残しつつも可決目前の本法案。成立を後押しした麻生太郎氏の動向も注目されている。

「麻生氏の妹は寛仁親王妃信子さまです。今回、養子の子が男子の場合、皇位継承権を与えることが盛り込まれましたが、養親候補の宮家には信子さまの三笠宮寛仁親王妃家も含まれるのです」(皇室担当記者)

 中道改革連合の野田佳彦前共同代表は特定の政治家が皇室に影響力を持つ状況を“(平安時代の貴族の)藤原氏のようになるのでは”と懸念を示したが、政治学者で、天皇や皇室の研究を専門とする明治学院大学の原武史名誉教授は、ほかの人物の名を挙げた。

麻生太郎氏の母方の祖父は元首相の吉田茂であり、昭和天皇に対して非常に忠実な臣という意識を持っていた人でした。吉田は、明治期に確立された君臣関係を『わが国古来の伝統』と見なし、歴史を貫く古代から連綿として存在してきた皇室の重みや存在感を重視しました。麻生氏もこのような祖父の考え方を意識しているように思います

 こうした思想に対し、原名誉教授は苦言を呈する。