心地よい道具や環境が書きたい気持ちを後押し
ひとり会議に必要なのは、お気に入りのペンと紙。デジタル全盛の時代だからこそ、手で書くことに価値があると山口さんは考えている。
「スマホならパッと素早く打ててしまうものを、時間をかけて書いていくことが心の豊かさにつながります。何にでも効率が求められる時代に、非効率的な時間を過ごすことで、人が本来大切にすべき視点に立ち返れるのではないでしょうか」
ひとり会議を行うときは、自分が心地よいと感じる空間で、お気に入りの道具を使ってほしいと山口さんは話す。
「朝のほうが気持ちよく書ける、あのカフェだとはかどる、ペンは太いほうが好き、ノートは罫線が細いほうが落ち着くなど、人それぞれ好きなものがありますよね。その日の心の調子に合わせて、書く場所や道具を変えてもいいと思います。ひとり会議という習慣だけでなく、自分だけの環境づくりやルールも、一緒に楽しんでもらえたらと思います」
心地よい環境を整えたら、いよいよ自分に向き合う作業が始まる。
「何かに悩んだとき、どうしたらいいのか頭の中だけで考えるよりも、紙に書くことで可視化でき、整理されていきます」
例えば、「何がつらいの?」と自分に問いかけ、「孤独でつらい」と答える。さらに、「なぜ孤独なの?」「本当はどうしたい?」と質問と答えを重ねていくうちに、漠然としていた感情や悩みが少しずつほぐれてくる。
「そのとき思ったことを素直に書くことが大切です。最初は、『おなかがすいた』『早く家に帰りたいな』ということでもいいですし、見たり、聞いたりした、気になる言葉を書き留めてもかまいません。文章をきれいにまとめることも必要ありません。誰かに見せるものではなく、自分の思いをアウトプットする習慣なのですから」
一方で、毎日続けなければ、と自分を追い込まないことも大切。山口さん自身も、ひとり会議をルーティンに組み込むことはせず、今書きたい、という衝動を大切にしている。
「やりたくない日に無理にやる必要はありません。私も、疲れて家にこもるような日は、反省会議になって自己否定につながってしまいかねないので、ひとり会議はしません。自分と向き合うことと、追い詰めることは違います。書かない日があっていいし、苦しくなったら休んでいい。休んでまた書きたいと思えたら、ペンを執ればいいんです」


















