風邪と笑われ気づいたら咽頭がんに

 内視鏡による手術は無事に成功し、膀胱を温存することもでき、先日の定期検査でも再発はなし。だが、一難去ってまた一難。ドンさんの身体は、さらなる病魔に浸されていた。

「1年半くらい前かな、喉に大豆が引っかかっているような感じがあって。有名な病院で診察してもらったら『ちょっと荒れてるから風邪じゃないか』と笑われてさ。そのまま違和感を放置していたから、この機会に診てもらうと『立派な咽頭がんです』と」

 こちらもステージ3。声帯を失う手術は避けたいと、抗がん剤と放射線治療を選択した。しかし、3か月半の入院予定をわずか1週間で切り上げ、通院治療へ切り替えた。

「最初はいちばん安い個室に入ったんだけど、これがひどくてさ。一泊5万7千円の部屋に移ったものの、それだと1か月で170万円! しかも回診に来る医者も看護師も、余裕がないのか患者の顔を見るよりモニターばかり見てるんだ。ハートが感じられなくてね。病院にいると気が滅入って元気になれそうもないから、退院したんだよ」

2月に受けた今年2度目の膀胱がん手術の後だけは、気弱になっていたと語るドン小西さん
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 そもそもドンさんは、医師を無条件に崇めるようなことはしない。

「がんについても猛勉強して、いろんな先生に会ったよ。でも院長でも、どんな地位の高い人でも、みんな僕より年下だし、ファッションチェックを長くやってきたせいか、その人の性格や人生経験を見抜いちゃうんだよね。

 医者にお任せにするんじゃなくて、彼らの知識や経験から『治すためのヒントをいただく』姿勢で、がんとは向き合ってきた」

 そんなドンさんにとって、医師の身だしなみはその内面を映し出す鏡だった。

「白衣を着ていると立派に見えるけど、名札のつけ方ひとつ、襟元のVゾーンの崩れ、靴の選び方なんかで、その医者が努力家か、惰性で生きているか、本当に患者の顔を見ているかまでわかる。やっぱりファッションは大事なんですよ」

 身体に合わなかった抗がん剤をやめ、放射線治療に絞って2か月。治療後は新居でゆっくり過ごそうと考えていたドンさんは、さらなる絶望に突き落とされる。

治療が終わってから10日目くらいが、本当の後遺症のピークだった。だるくて起きていられないし、喉の粘膜が焼け落ちて激痛で唾すら飲み込めない。味覚もなくなって激しい咳は止まらない……。手術なら麻酔から覚めた瞬間がピークで、あとは回復していくだけ。でも放射線は違う。本当につらくて毎日苦悶したよ」