情報過多に仕事に育児…脳は処理能力の限界!

 ブレインフォグの具体的な症状は、私たちが想像する以上に日常の細かな部分に現れる。

「例えば、普通に会話をしていても、言葉の意味が脳で処理しきれず、何度も聞き返してしまう。文字は追えていても中身が頭に入ってこないというのも一例です。何品も同時に調理するような料理のマルチタスクができなくなったり、お風呂でシャンプーの順番など身体が覚えているはずの習慣でミスをすることなども挙げられます」

 スマホで、50~60秒の短さにまとめられた動画コンテンツ「ショート動画」や短いニュースばかりを好んで、本や書類が読めなくなったり、メールやLINEの返信が面倒で、未読や既読スルーがたまることも。また、「あれ、それ」などの指示語が増え、人や物の名前が出てこなくなることも該当する。

 さらに、午前中は調子が良いが、疲れがたまる夕方以降に急激に悪化する、寝不足の翌日は特にひどい、というように症状に波があるのも大きな特徴だ。

 特に50代、60代の世代にとって気になるのが、認知症の始まりではないかという不安。川上先生は、その見分け方を次のように解説する。

「違いは、記憶の回復の仕方と生活への支障の出方です。ブレインフォグは『思い出したくても思い出せない』と本人が自覚できるので、非常にもどかしい思いをします。

 また、物忘れだけでなく、集中力や段取り能力も一時的に低下しますが、睡眠や生活習慣を整えると回復するなど波があります。一方、認知症の場合は、そもそも思い出そうとすらしないケースが多く、思い出すのは昔のことばかりなのです」

 ただし、「ただの疲れ」と放置して2~3か月以上も症状が続く場合は注意が必要。背景にうつ病、自律神経失調症、適応障害などのメンタルの病気や、脳梗塞などの深刻な脳の疾患などが隠れているケースもあるからだ。

「『おかしいな』と感じたら、まずは総合内科を受診しましょう。そこで身体的な異常や隠れた病気がないかを検査し、必要に応じて専門外来を紹介してもらうのが正しいステップです」