まさこさんの“宝物”

 ALSだと告げられたのは、2023年6月。大学病院の一室で、その瞬間、涙があふれ止まらなくなった。言葉が出なくなったまさこさんに代わって、隣に座っていた夫が静かに「わかりました」と答えた。

 成長していく子どもたちに、何もできなくなっていく自分がふがいなく、申し訳ない気持ちがこみ上げてくる。“どう生きたらいいのか”“どう前に進めばいいのか”“治すにはどうすればいいのか”と、診断を受けて以降ずっと、頭の中で繰り返していた。

「気づくと涙が出てきてしまう日々でした。でも、当時小学生だったタカラが、泣いている私に“ママなら大丈夫だよ!”と言ってくれて。その言葉で少し立ち直れましたね」

 そして、次第にまさこさんの中で、前を向こうという気持ちが芽生えてくる。

「泣くことに飽きたというか、泣いている時間がもったいないと思うようになったんです。“どう生きたらいい?”ではなく、“私はこう生きたい”と考えるようにしようと」

 まさこさんには生きざまを見せたい2人の“宝”がいる。長男のタカラくんと長女のリンちゃんだ。「週刊女性PRIME」が取材した際には中学生になったばかりで難しい年頃だったタカラくん。うれしい変化が起きたようで、

以前は隣に座るのも嫌がっていて、同じ部屋にあまりいなかったんですけど、ちょこんと隣に座るようになって、会話も増えて、本がきっかけでちょっと反抗が和らぎました」(まさこさん)

長男のタカラくん、長女のリンちゃんのためにできることを探し続けるまさこさん
長男のタカラくん、長女のリンちゃんのためにできることを探し続けるまさこさん
【写真】「お断りするつもりでいた」『24時間テレビ』出演・はらだまさこさんの“宝物”

 今回の24時間テレビではタカラくんが、芳根と一緒に母の味を作ることに挑戦するという。

「私がキッチンに立てなくてもタカラとリンがキッチンに立って私の味を作って思い出してくれたら、と残したレシピでした。こんなに早く夢が叶うなんて」

 まだ治療法が確立されていないALS。だが、わずかではあるが、進行が止まったり症状が軽くなった例=「ALSリバーサル」がある。“世界のどこかに回復した人がいる”という事実が、まさこさんの心に小さな明かりを灯した。「リバーサルにかけて生きよう。私は希望を捨てない」という思いを胸に、今日を生きていく。