
「俳優の仕事をしているのに、どうして小学校の学習指導補助員になったのか? みなさんに不思議がられるのですが、実は私にも意外な展開だったのです」
そう話す大浦龍宇一さん。始まりは、大浦さんが大人も子どもも読める童話を出版したいと思ったことだった。
ひょんなことから始まった「二足のわらじ」生活
もともとイラストが得意で、シンガー・ソングライターとして作詞をしていたこともあり、「ある日、子どもたちがグラウンドで遊んでいる姿を目にしたとき、子どもたちを笑顔にする、しかも大人も読める童話を作ろう、と思い立ったのです」(大浦さん、以下同)
ところが、アイデアはあるものの、うまくまとまらない。そこで頼ったのが、教育関連のNPOを運営している40年来の友人。童話作りのアドバイスをもらおうと思ったのだが、返ってきた言葉は「実際に小学校で働いてみたら?」というものだった。
「予想もしなかった言葉でした。そんなことが可能なのかと思っていたら、そこから話がとんとん拍子に進み、副校長先生との面接になり、晴れて採用。学習指導補助員として働くことになったのです」
2023年から始まった学習指導補助員の仕事は、当初は週3回。いまは同校に加え、ほかの小学校で学童の子育てサポーターもしている。
「学習指導補助員の仕事が終わったあと、子育てサポーターとして晩まで働く日が週に2回。学童だけで働く日が2回なので、週に4日、小学校で過ごしていることになります。俳優の仕事もありますから、大変は大変です。時には小学校を休ませてもらうこともあり、温かく応援してくださる先生方には本当に感謝しています」
学習指導補助員として働くときは、朝5時に起き、6時には出かける。
「俳優の仕事場にはいつも車で行くのですが、小学校は電車通勤。満員電車を避けて、7時には学校近くにいます。登校が始まるまでの1時間で気持ちを整え、心の余裕を持って子どもたちに接するようにしています」