1983年に発売されたファミリーコンピュータは、今でこそ『スーパーマリオブラザーズ』や『ゼルダの伝説』を生んだ名機として知られているが、発売当初の1年間はまだそうした“大作”は存在していなかった。
では40年前、ファミコンキッズはどんなゲームに熱中していたのか。当時のラインナップを振り返ると、忘れられた名作たちが家庭用ゲーム文化の基盤を静かに築いていた事実が浮かび上がる。
“競技系”が人気だった1年目のファミコン
ファミコンは家庭用ゲーム市場を一気に押し上げた存在であるが、発売当初のラインナップは『ドンキーコング』『ドンキーコングJR.』『ポパイ』の3本のみ。現代の新型ゲーム機の発売時に複数の大作が並ぶ状況とは大きく異なっていた。
「この3本は当時の大人気アーケード作品で、ゲームセンターでプレイするしかなかったタイトルを家で好きなだけ遊べるようになったことは、子どもたちにとって強烈な魅力でした。デパートの“試遊台”には人が集まり、順番待ちが当たり前となるほどで、ファミコンのポテンシャルを広く示す光景が各地で見られました」(ゲームライター、以下同)
発売から1年目のタイトルを振り返ると、特に存在感を放っていたのは「競技系」と呼ばれるジャンル。人数を揃えなければ遊べない競技をコンピュータ相手に楽しめる利便性は、子どもにも大人にも受け入れられた。
「『五目ならべ 連珠』や『麻雀』から始まり、『ベースボール』『テニス』『ピンボール』など、実在の競技をテーマにしたゲームが次々に発表され、2人対戦が可能なものも多かったことから友人同士の遊びとして人気を集めました。当時はリアルな麻雀や野球の人気が非常に高く、『麻雀』や『ベースボール』などは父親世代にも浸透。
“父親が自分で遊ぶために買ってきて家にファミコンが導入された”というケースも珍しくありませんでした。他にも『ワイルドガンマン』『ダックハント』『ホーガンズアレイ』など光線銃シリーズも家庭用ゲームとしては極めて斬新で、西部劇さながらの早撃ちを体験できる刺激的な内容でした」
















