住民の4割が外国籍という「新宿区立大久保図書館」の挑戦

 東京・大久保の街に降り立つと、耳慣れない言葉が飛び込んでくる。駅のアナウンスや街頭放送は20か国以上に対応し、看板も実にさまざま。

新宿区民の約12%が外国籍、131か国におよびます。大久保エリアに限ると約40%になり、韓国や中国のほか、近年ではベトナム、タイ、ミャンマー、イスラム圏などの方が増えています

 そう教えてくれたのは、新宿区立大久保図書館の米田雅朗館長。

 全国的にも例を見ない特徴をもつ地域の公立図書館に、’11年から勤務、多彩な活動に取り組んでいる。

新宿区立大久保図書館の米田雅朗館長

 外国語の本の収集、おはなし会開催のほか、特徴的なのが日本語を得意としない人へのサポート。館内表示の多言語化や日本語学習資料の用意、韓国・中国語に堪能なスタッフの常駐など多岐にわたるが、’15年から年2回、開催している『日本語多読ワークショップ』もそのひとつ。多読とは、文法や意味にとらわれず、ひたすら読むことで語学力をアップさせる学習法だ。

「自分の日本語レベルに応じた本を読む機会が少ない人が多く、参加者からは“いろんな本が読めてとても楽しかった” “もっと本が読みたくなった”と、うれしい感想をいただきました」(米田館長、以下同)

 参加者を募るため数か国語のチラシを作成、地元の日本語学校や幼稚園、小学校にも協力を仰ぐ。

「言葉が通じず困っていたり、もっと交流したいと考えている住民の思いに少しでも応えていきたいです」

タガログ語やベトナム語などのリクエストカードも

 本を通じた国際交流の一環として、『ビブリオバトル・インターナショナル』の開催も4回を数えた。流暢(りゅうちょう)日本語でなくてもいいから、本を手に自分の思いを伝える。なかには途中からポルトガル語の歌で盛り上げた参加者もいた。

「本は文化です。イベントには、いろんな国の方が異文化に触れたいという思いで参加してくれます。本は人と人をつなぐ大切な媒体。国同士がうまくいかなくても本を通じたコミュニケーションは楽しめます

 そう語る米田館長は「“お国はどちら? 地球です”が大久保図書館のキャッチコピーです」と微笑(ほほえ)む。

 日本を訪れたり、ともに暮らす外国人が増えるなかで、多文化共生は重要なキーワード。大久保図書館の取り組みはいま、全国で注目されている。