小学校近くに設けられた献花台。涙を流しながら手を合わせる人が絶えなかった(6月19日撮影)
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崩れた塀は違法建築物だった

「これは防げた事故です。あの子は守れたんです! 本当に悔しい」

 防災アドバイザーの吉田亮一氏(60)は声を荒らげる。

 高槻市によると、塀は高さ約3・5メートル。そのうち付け足された高さ約1・6メートルのブロック部分が幅約40メートルにわたって倒壊した。ブロック塀は建築基準法の規格(高さ2・2メートル以下など)に適合しておらず、同市は違法建築物であったことを認め、謝罪した。

「孫はあの塀に描かれた怪獣の絵を気に入っていて、毎日うれしそうに見ていました」(近隣の70代女性)

「創立40周年行事の一環で数年前に子どもたちが手形をつけたり、可愛い絵を描いたりして明るくしていました」(30代の卒業生の女性)

 事故前は、近所の人から肯定的に受け止められていた塀だったが、実は前出・吉田氏は危険性を指摘していた。2015年11月、同校で防災教室を行った際に「プールのブロック塀は危ない」などと校長に直接伝えた。

 口頭だけでなく同年12月7日にはA4判1枚にまとめた報告書を学校あてにメールしている。しかし、学校側から改善の報告はなかった。

 学校は翌'16年2月に市教育委員会に壁の安全性の確認作業を依頼。ただし、

「正式な依頼ではなく、別の用事で同校を訪れた職員に頼んだそうです。目視とハンマーで塀を叩くなどして確認、安全だと判断しています」(同市教委・学務課担当者)

 安直な“安全宣言”を真に受けた学校は、市教委に正式な報告をあげていない。診断した職員は建築士などの資格を持っていなかった。

 同校の田中良美校長は21日の記者会見で、「プールの塀がブロック塀とわかっていたし、地震が起きたら危険だという認識もあった。しかし、安全と言われていたこともあり、危険性への理解が足りなかった」。同席した市教委の担当者も、「特に問題はないと判断していた」と述べた。

 問題は壁の施工年月日も業者も不明なこと。書類や手がかりは何も残っていない。近隣住民によると'74年の創立当時は金網のフェンスだったという。「のぞく人や盗撮犯が出た」「子どもの声がうるさい」「水着姿が見えて恥ずかしい」などの理由で設置されたようだが詳細はわからない。