『フリースクールネモ』の子どもたちはゲームをして仲よく楽しそうに過ごしている(同所提供)
『フリースクールネモ』の子どもたちはゲームをして仲よく楽しそうに過ごしている(同所提供)
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子どもの居場所作りを

 全国で今、不登校の子どもたちを受け入れるフリースクールは約500校。ゲーム機やエレキギターを置くところもあり、子どもが興味を持つことを自由に学べる場として機能しているという。

 フリースクール全国ネットワーク事務局長、松島裕之さん(35)は、

学校がコース料理だとすれば、それ以外はバイキングのようなもの。必要なものを自分でチョイスしていく。フリースクールでも、学習塾でも、自宅でもいいんです」

 と選択肢の重要性を伝え、

「文部科学省も、不登校が問題行動ではないことや、子ども学校復帰だけを目標とするのではなく、社会的自立をさせることも目標とすると通知を出しています。学校に行くことだけが、子どもの育ち方ではないですから」

 と、多様性のある社会の実現に期待する。

 東京・三鷹図書館は8月21日から9月16日まで、子ども自殺が多くなる時期に企画展示『つらい気持ちを抱えているきみへ』を、三鷹市内の全図書館と井の頭コミュニティ・センター図書室で行う。今年で3回目の実施だ。

「読んだら心が軽くなる本だけでなく相談先や市内での居場所がわかるリーフレットを展示します。ひとりで悩みを抱えて死にたいと思うくらいなら学校なんか行かなくていい。相談できる場所があるんだよって知ってほしい。当図書館は、今後も継続的に発信し、子どもたちを支えていきたいと考えています」(担当者)

 社会の至る所に居場所ができれば、不登校の子どもを受け入れる器は大きくなる。

 警察庁の調べでは昨年1年間で自殺した小中高生は357人。居場所があれば救えた命はきっと少なくない。