子どもとの最後の触れ合い

 釈放後、とにかく子どもに会いたかった雅美さんは、夫に「会わせて」と懇願した。

「夫が同席する条件で、数分だけ、会わせてもらえることになりました。'13年11月30日でした。

 生後6か月になっていた長女を抱くと、泣いてしまって……ショックでした。長男は“おいで”っていうと私の首に手を回してギュッと抱きつきましたが、夫に“行くよ”と離されて連れて行かれてしまいました。直接、子どもと触れ合ったのは、それが最後です

 翌'14年7月には離婚調停を申し立てられた。

「事件のこともありましたし、“親権を譲ってくれれば子どもには会わせる”と言われたので、それならばと1回の調停で離婚が成立しました」

 ところが、面会交流調停を申し立てても会うことができない。新しく雇った弁護士に言われたことは「なんで離婚して親権を渡してしまったんですか!」だったという。

 面会交流事件を多く手掛ける稲坂将成法律事務所の古賀礼子弁護士は、

離婚時には取り決めた内容を公正証書や調停調書などの書面で残しておくこと。取り決めが守られなかった場合、書類の有無が重要になります」

 雅美さんのケースでは幸い、

「会えてはいませんが、新しい弁護士さんが頑張ってくれたおかげで、毎月10枚の写真と3か月に1度はビデオレターを送ってもらえています。また、子どもの誕生日とクリスマスにはプレゼントを贈れるようになりました」

 思えば愛情に飢えた人生だった。