2位の大腸がんについては、牛や豚などの赤身肉、飲酒がリスクを高めると言われている。

「パン食が多いと、ソーセージやベーコンなどの肉類が副食になりがち。繊維が多い野菜や穀物を食べるようにしましょう」

 加えて、悪影響を及ぼすのが肥満だ。さまざまな調査で大腸がんの危険因子として特定されている。基礎代謝が落ちて太りやすくなる40代以降や更年期以後の女性は要注意。低脂質・高繊維質の食事を心がけ、運動も習慣づけて適正体重をキープしたいところだ。

10代後半から検診を

「さらに簡単にできる予防法があります。検診です。なかでも子宮頸がんは“検診で唯一予防できるがん”で、『前がん病変』という、がんになる前の状態で発見できます。それなのに患者数が多いのは、検診の受診率が低いことの表れ。10代後半から20代で受け始めるのがベストです。

 一方、子宮体がんは閉経前後から増えるのが一般的ですから、40歳を過ぎたら頸がんの検診と一緒に、体がんの検査も受けたほうがいいでしょう。自治体の検診項目に含まれていない市町村もあるので、事前に確認を。こまめな検診に勝る予防はありません

 女性特有のがんになったら、実際にどのような治療が行われるのだろうか?

「手術でがん細胞を取り除くことが基本。がんの悪性度や進み具合に応じて、必要であれば放射線治療や抗がん剤を使った化学療法を行います」

 再発を繰り返す場合や、悪性度が高く治りにくいがんで、いま、注目されている治療法がある。京都大学の本庶佑博士がノーベル医学生理学賞を受賞する理由となった『免疫療法』だ。

 がん細胞などを攻撃して外敵から身を守るのが免疫の働き。だが、その力が強すぎると正常な細胞にまでダメージを与えてしまうため、免疫の働きにブレーキをかける仕組みが備えられている。これを利用してがん細胞は、免疫の働きにブレーキをかけて、攻撃から免れていることがわかってきた。

 そこで、ブレーキがかかるのを防いで免疫の働きを活発化、がん細胞を攻撃できるようにしたのが「免疫チェックポイント阻害薬」を使った免疫療法だ。

「悪性度の高い乳がんや難治性の卵巣がん、メラノーマという皮膚がんなどで実際に使われています。一部で保険適用されているものもあります。ただ、免疫細胞の働きが活発になりすぎて、正常な細胞まで攻撃して副作用を起こす可能性もある。がんの悪性度や状態などをみながら、使用する量やタイミングを慎重に見極めなければなりません」

 治療の普及に期待したい。