介護費は親の寿命も考えて

 親の年金額や資産額を把握したら、1年ごとに介護に使える予算を計算します。

 まず、100歳から親の現在の年齢を引き、その数字で総貯蓄額を割ります。そこに年金の年額を足し、予備費10万円を引けば、1年間の介護に使えるお金がわかります。この計算は、親が100歳まで生きることを前提としたもの。平均寿命は延びているため、短く見積もると資金がショートする危険があります。

 気をつけたいのが、両親のうち片方が先立てば、年金額が減ること。平均寿命から母親が残されるケースが多いでしょう。日本年金機構の年金相談へ行き、どちらかが先だった場合の年金額を教えてもらい、予算を立てましょう。

介護や支援を受けるまで

 親が自立した生活が難しいと感じたら、まずは、地域包括支援センターに相談。サービスを利用するには「支援や介護が必要」と認定を受けなければなりません。介護保険を利用するほどではないと判定された場合も、自治体独自のサービスを受けられることがあります。介護保険は、本人や家族の申請が基本ですが、地域包括支援センターなどに無料で「代行申請」してもらうこともできます。

 介護申請で注意したいのが、高齢の親はひとりでできないことも「できます」と答えがちなこと。認定調査の日は付き添いを。実情と親の答えが異なる場合は、親のプライドにも配慮しつつ、その旨を伝えます。

 

<プロフィール>
太田差惠子さん◎介護・暮らしジャーナリスト。「NPO法人 パオッコ~離れて暮らす親のケアを考える会~」理事長。25年以上にわたり老親介護の現場を取材し、介護とお金、介護と仕事の両立などについての情報を発信。『親の介護には親のお金を使おう!』(集英社)など著書多数。

(取材・文/仲川僚子)