お供えのお菓子は、子どもの好みも反映しながら箱詰めしていく
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全国1251のお寺が活動

『おてらおやつクラブ』は、お寺にお供えされるさまざまな「おそなえ」を、仏さまからの「おさがり」として頂戴し、子どもをサポートする支援団体の協力のもと、経済的に困窮している家庭に「おすそわけ」する活動のことだ。

 厚生労働省の発表(2015年『国民生活基礎調査』)によると、18歳未満の7人に1人が貧困状態にある。実に280万人の子どもが空腹にあえいでいるのだ。特にひとり親世帯が深刻で、2人に1人が貧困状態と言われている。

 一方で、お寺にはたくさんの食べ物がお供えされる。全国のお寺の「ある」と社会の「ない」をつなげることで、貧困問題の解消に寄与することを目的にした活動なのだ。

 5年前に安養寺で始まり、現在、趣旨に賛同した全国1251のお寺が活動。子どもやひとり親家庭を支援する各地域の445団体を通じて、お菓子や食品、日用品などを届けている。おやつを受け取る子どもの数は月間のべ約1万人だ。

「講演をすると、活動には、みなさん理解を示してくれるんですが、同時に“本当にそんな貧困家庭があるんですか?”とおっしゃる。子どもたちの貧困が多くの人たちには見えない。それがいちばんの問題です。子ども食堂が全国に3000か所くらいあると話をしても、なかなか周りにそんな子どもがいるという実感が湧かないんですね」

 離婚によって仕事をしながら子育てをするシングルマザー、結婚という選択肢を選ばずに子どもを育てる家庭も少なくない。3年ほど前から月に1回支援を受けている奈良市在住の野上麻衣子さん(45)は、18歳の医学部浪人生の娘と中学1年の息子と暮らすシングルマザー。法律事務所勤務だが、現在の給料では予備校の学費を払うだけで精いっぱいだと話す。

『おてらおやつクラブ』からいただいたお素麺で何日も過ごしたこともあります。離婚により、経済的に困窮する家庭にとっては希望の光です。食費が苦しくてお菓子を買えないとき、お菓子が定期的に届くことに感謝の気持ちでいっぱいです。

 娘は医学部志望なので学費がとてもかかります。だから今の仕事をしながら並行して会社を経営するべく日々奮闘しています。これから稼げるようになったら、恩返しをしたいな、と毎月いただくたびに思います」

基本的に必ずお米は入れる(3〜5キロ)

 松島さんが、実家である安養寺の住職に就いたのは、約5年前のことだ。

たくさんのお供えを頂戴し、そのおさがりで生活させていただいているありがたい環境ですが、たくさんいただく時期には私たちだけでは食べきれないことがあります。賞味期限が迫り、無理やり食べたり、お分けするために必死で相手を探していました。贅沢な悩みですよね。

 ほかのお寺でも、地域の福祉施設に届けたり、檀家さんが集まった際にお配りしたり、何かしらの工夫をしていたんですね。私も果物をジャムにしてみたりするんですけど、なかなか追いつかない」