――会話のなかで、彼女たちにどのようなアドバイスをされますか?

「オーディションを受けてくれる女の子たちもそうなんですけど、自分は“ありのままでいい”って思っている子が非常に多いんですね。だけどそうではなくて、もっとしっかり考えなきゃいけないよと。

 僕も20代後半でやっと気づいたんですけど、自分の主張ばかりするんじゃなくて、相手に合わせることができないと成功しないよとは、常に言っています。僕もかつてレコード会社に対しては“こいつらわかってねえな”って思ってましたし、彼女たちも落ちていくときには“なんで私のことわかんねえんだ”って思うはずなんですよ。

 だけど、その考え方こそが敗因だったんですよね」

――自らの失敗の経験から、同じ道を歩まないようにアドバイスをされていると。

「もちろん失敗から学ぶこともありますけど、もっとうまくやれたのに……という後悔がすごく多かったので。

 必死にやることをちょっとカッコ悪く感じたりとか、みんなで頑張ろうよってなっているところで、ちょっと斜に構えてダルそうにやってみたり。いま考えたら真剣にやっときゃよかったなと」

――11月1日より公開される映画『IDOL-あゝ無情-』では、オーディションサバイバル合宿に密着。アイドルを目指す女の子たちの姿をノンフィクションで追う様子が映し出され、劇中では、厳しい言葉を投げかける渡辺さんが“悪役”に見える場面も多かったです。

「彼女たちが苦しんでいる顔を見ると楽しくなってきちゃうんですよ。悪役として生まれてきたんだろうなと思います、正義の仮面ライダーにはなれないですね(笑)」

――過激な発言もカットせずに映し出されていました。

「僕は、映像も写真も基本的にはNGは出さないんですよ。“あちゃ~これやっちゃったな”と思っても、自分自身カメラが回っているとわかってやっていることだし、それがリアルだと思うので、基本的にはカットしないようにしています