14年も現場を離れていたから、今のホストクラブは以前とノリが全然違っていたらどうしようと不安もありましたが、僕の接客に誰もが本当に喜んでくれた。

 人が求めているものって根本的には変わらないんだな、と思いました。でも、調子をつかむのに2、3日はかかりました。

あの場にいられたことは人生の財産

 初日から最終日までで5回来てくれた方がいるんですが、「最初の方はなんだかかしこまっていて、あのカリスマホストの仁さんでも緊張するんだと思った」と言われました。でも彼女が言うには、その変化も楽しかったとか。おかげさまで、日にちを重ねるごとに勘を取り戻すことができて、これまで培った「『愛本店』のホストとしての城咲仁」らしさが出せていけたのかな、と思います。

 そうはいっても、あと何日かしたら自分の中で「あのとき、ああすればよかったかな」と反省点が出てきそうな気もします。答えはない仕事ですからね。

壱さん 仁さんが来てくれた1か月は、店の中はもちろん、店の外までいつもより華やかでしたね。オーラが店の外まで感じられるというか。ホストを引退してから14年もたつのに全くブランクを感じさせず、話術や人を引き付ける力はさすがだと思いました。

『愛本店』代表の壱さん(左)と城咲仁(右) 撮影/矢島泰輔
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――14年ぶりにホストをしてみて、当時と決定的に違うなと思ったことは?

城咲 いろんな意味でカジュアルになったな、と思いました。僕がいたころの『クラブ愛(※愛本店の旧名)』は、午後7時から0時の1部、0時から朝までの2部と、2つに分かれていたんですが、雰囲気が違いましたからね(※風営法改正されたため現在、歌舞伎町では0時以降の営業できない)。現在はその1部の時間帯の営業しかしていないから、ということもあるかもしれません。

 午後7時くらいからだと、まだお酒が入っていない状態でいらっしゃるお客さまも多いので、堅苦しくなく、すぐに打ち解けられるような雰囲気が好まれる。カジュアルな、いわゆる親しい友達的なホストのほうが喜ばれるのかな、と思いました。それが最近のホストの傾向なのかもしれないですね。

 僕に会いに来てくれたホストの子たちもそうだったけど、『愛本店』以外の場合、一目で見て「ホスト」とわかる感じの子はまずいないですね。

 僕が働いていたのは0時から朝までの2部だったので、お店を終えてからやって来る夜の仕事の方や、『愛』が2軒目、3軒目の方なども多かったので、緊張感や盛り上がりがすごかったですね。当時はホストも100人くらい在籍していました。

 しかし、その独特の緊張感や盛り上がりで磨かれたと思うし、あの場にいられたことは本当に人生の財産です。とにかく「ホストとして存在すること」にこだわることを学びました。

 服装から所作、姿勢、お酒の出し方まで厳しく言ってくれるお客さんも結構いて、「24時間、最高の男として振る舞わないといいホストになれないよ」と、毎回きついダメ出しをしてくるんですけど、チップをはずんでくれたりして、そのあたりがとてもスマートなんですね。

 こちらも、次はほめられるようにと頑張ったものでした。