妹の“敵討ち”のための活動でもあります

「膵臓がんの危険因子(喫煙歴、糖尿病、慢性膵炎、家族歴、肥満などについて知ってもらうことハイリスクの方々に、より早期の発見・治療につなげていくことが大切です」(眞島さん、以下同)

 実は眞島さんは、妹が膵臓がんと診断された後に膵臓がんの前段階の主膵管拡張、膵のう胞(IPMN)があると診断され、経過観察後に膵臓の全摘出手術を受けて克服している。

「家族に膵臓がんの人がいた場合は、定期的な検査が早期発見につながる。妹は48歳で膵臓がんの診断を受けたので、甥(妹の息子)には少なくともその10年前の38歳までには検査をすすめたいですね」

48歳で膵臓がんの診断を受けた妹。それから2年足らずで他界した
48歳で膵臓がんの診断を受けた妹。それから2年足らずで他界した
【写真】48歳で膵臓がんの診断を受けた妹さんと眞島さん

 現在、パンキャンジャパンで眞島さんが特に力を入れているのは、国外ですでに使用が承認されている薬が、国内では承認されていないことや承認の遅れを指すドラッグラグの解消だ。膵臓がんは非常に見つかりにくく、診断がついたときには進行しているケースが多い。

 また、進行も非常に早く“一刻の猶予もない”という患者や家族の切実な思いがある。その患者や家族に欧米で承認された新薬を1日でも早く届けたい、とドラッグラグ解消に取り組んできた眞島さんらの尽力で、膵臓がん治療薬のドラッグラグは6年以上から2年以下に短縮された。だが、

目標は0年。同時承認です

 と、厚労省への働きかけや定期的な啓蒙活動を続けている。

「妹が亡くなる直前に、米国のPanCANと出会い、日本支部としてパンキャンジャパンを設立したのは、妹を亡くした2か月後。この活動は、私にとってのグリーフケア(大切な人を亡くし、悲しんでいる人に寄り添い手助けをするケア)のひとつだったのかもしれませんまた同時に妹の“敵討ち”のための活動でもあります


眞島喜幸さん
妹(当時49歳)を膵臓がんで亡くした2006年に膵臓がんの患者支援団体「パンキャンジャパン」を設立。米国PanCANと連携し、膵臓がん患者と家族の支援活動を行う。自身も膵臓がんを患い、全摘出手術を受けたサバイバーでもある。NPO法人パンキャンジャパンhttps://pancan.jp/