夫とは溝ができても母とはぴったり合う

 結婚したら、夫婦は二人で協力し、生活を作り上げていきます。結婚しても親が大事な存在であることに変わりはありませんが、親は基本的に「別の家の人」であり、優先すべきは配偶者のはずです。

 しかし、“女のマザコン”は、常に気持ちがお母さんのほうを向いています。違う環境で育った夫とは意見が一致しないこともあるでしょう。この溝が埋まらず、イライラすることもあるでしょうが、お母さんとはぴったり合う。娘の思考回路や価値観は、ほぼ母親が作ったものなので合うのは当たり前なのですが、「お母さんなら、わかってくれるのに!」と“女のマザコン”化に拍車がかかってしまう可能性はあります。

 夫婦の問題は夫婦で話し合うべきですが、娘の愚痴を真に受けて、娘の夫に「もっと早く帰ってきなさい」「もっと家にお金を入れなさい」と命令するお母さんを私は実際に知っています。

『女性セブン』によると、お母さんのサポートを受けやすいように、出産前にあっちゃん夫妻は両親が暮らすマンションの別のフロアに引っ越したそうですが、お子さんが生まれてから、都心に舞い戻ったそうです。あっちゃんの知人は「勝地さんとあっちゃんのご両親との関係で、悩みがあったのでしょうか」と話していました。

 お母さんが「娘夫婦のお手伝いをしている」のならいいのですが、お母さんが娘のために奮闘しすぎると、お母さんが部長で、娘夫婦がその判断で動く部下のようになってしまうかもしれません。だとすると、夫はお母さん部長から離れたい、ひとりになりたいと思ってもおかしくはないでしょう。

 あっちゃんのような“女のマザコン”は、日本中に溢れていると思います。男性のマザコンは「気持ち悪い」と言われがちですが、“女のマザコン”はそう言われないからヤバいのです。なんだか恋愛や婚活がうまくいかないと思う人は、ご自分が“女のマザコン”になっていないか、考えてみてもいいかもしれません。


<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」