《健康法その3. ちびちび水飲み》

悪い“体内水”を流して健康に!

 人の身体は約6割が水で占められていて、この水を体内水という。体内水は3分の2が細胞の中に、残りの3分の1が血管内、脳脊髄腔(のうせきずいくう)、リンパ管内、そして細胞と細胞の間の空間である間質液として存在。

 体内水は普段の生活では意識されにくいけれど、栄養の運搬や老廃物の排出など、健康維持のための重要な役割を担っていると、医学博士の森下克也先生

これらの体内水は、ただ身体の1か所にとどまっているわけではなく、絶えず体内を循環していますこの流れが滞ると、老廃物をため込んだ体内水が長期間、身体の中に残って、悪い体内水となり、だるい、疲れる、頭が働かないなど、身体のつらい症状につながってしまうのです」(森下先生。以下同)

 体内水のよしあしを決めるのは、【1】量【2】流れ【3】にごりの3つの要素が関係する。

 近年、お茶やコーヒーの常飲によるカフェインの利尿作用から、慢性脱水症の人が増えており、これが、この3つの要素と深く関係すると森下先生は指摘する

慢性脱水症はのどが渇かないため、自分では気がつきにくい。下のチェック表を参考に、慢性脱水症の疑いがある人は、体内水の流れが滞っている可能性が。体内水をうるおす対策が必要です」

慢性脱水症チェック

 下のうち6項目以上、当てはまる人は「慢性脱水症」の兆候あり!

□ 疲れやすい
□ 口の中がネバつく
□ 目が乾く
□ 口臭がひどくなった
□ 味を感じにくくなった
□ まぶたや手足の筋肉がピクピクする
□ 微熱が続く
□ オシッコの回数が減った
□ 頭痛が続く
□ 甘いものを好むようになった
□ 肌があれる
□ シミができやすい

 慢性脱水症を防ぎ、にごりがなくスムーズに流れるよい体内水をキープするための簡単な方法として、森下先生が教えてくれたのが、水の“ちびちび飲み”だ

ちびちび飲みは、1度に大量の水を飲むのではなく、のどの渇きにかかわらず、ひと口程度の水を頻繁に飲む方法。無理なく水が摂取できて、常に一定量以上の水を体内に維持できます」

 ポイントは、お茶やコーヒーなどではなく常温の真水を飲むこと。できればミネラルがより豊富な硬水のミネラルウォーターがおすすめ。1日1・2リットル程度の摂取を目安に、毎日続けよう

体内水の流れをよくする「体内水エクササイズ」

 身体全体の体内水の流れをよくする効果的なエクササイズをご紹介。

指もみ手もみ法は、体内水のひとつであるリンパ液を流すのに有効な手段。カメさん体操は手足の末端に滞った体内水の流れを促す効果が期待できます」

●指もみ手もみ法

 手足の指の先端から根元に向かって絞るようにもみほぐしたら、手のひら、足の裏をそれぞれまんべんなくマッサージ。特に足の指の付け根はリンパ腺の働きを活発にするので念入りに。手と足それぞれ2分ずつ行う

●カメさん体操

 あお向けになり、両手足を伸ばしたまま持ち上げ、ひっくり返ったカメが手足をバタバタさせるように動かす。30秒続けて10秒休憩を3〜4回繰り返す

太田博明先生
医学博士。山王メディカルセンター女性医療センター長。藤田医科大学病院国際医療センター客員病院教授。日本の女性医療の第一人者。著書に『筋肉は若返る!−尿もれ・骨折・フレイルは防げる! 治せる!』(さくら舎)
石井さとこ先生
歯科医師。「ホワイトホワイト」院長。歯のホワイトニングを日本で広めた第一人者。多数のビューティーセレブからの信頼も厚い、口もと美容スペシャリスト。著書に『美しい口もと』(ワニブックス)
森下克也先生
医学博士、もりしたクリニック院長。久留米大学医学部卒業後、浜松医科大学心療内科にて永田勝太郎博士に師事。漢方と心療内科の研鑽を積む。著書に『医師が教える 不調を治す水の飲み方選び方』(KADOKAWA)

(取材・文/中村明子)