そんなウィンウィンの関係性を象徴するのが、くりぃむしちゅーとの縁。マツコは11年前、本格的に芸能活動を始めるにあたり、彼らが作ったばかりの事務所に所属。くりぃむしちゅーはその前に、細木数子と組んだ『ズバリ言うわよ!』(TBS系)を成功させるなど、毒舌のエンタテインメント化には定評があった。

 が、マツコと組むことがおいしいのは芸人だけではない。じつはジャニーズアイドルにとっても、ウィンウィンの関係なのだ。

ジャニーズとも相性抜群のマツコ

 芸人のなかでも若いころはアイドル的だった矢部や有吉がマツコと名コンビになっているように、いわゆるシュッとした見栄えのいい男性のほうがこの人とは合う。猛獣使い的な構図が際立つのである。マツコと関ジャニ∞の村上信五が組む『月曜から夜ふかし』がいい感じに長続きしているのもそのためだろう。

 ちなみに、マツコは高校時代、木村拓哉と同学年だった。思えば、すごい偶然だが、キムタクのようなカッコいい系より、ちょっと三枚目のカワイイ系が好みらしい。4年前『マツコの知らない世界』に元たのきんトリオの野村義男がゲスト出演したときには、昔のドラマ映像を見たりしながら「カワイイ!」と大ハシャギしていた。

 そんなマツコにとって、現役では風間俊介あたりも「カワイイ」対象なのだろう。昨年、同じく『マツコの知らない世界』に風間がゲスト出演。東京ディズニーシーへの愛を語った。

 その際、マツコが風間のプライベート報道にも触れ、既婚者で子持ちであることが大々的に広まるという展開に。

はい。そうなんですよ。隠してるつもりはなかったです

 というコメントを引き出したことで「さすがマツコ」、という声もあがった。ただ、これについては、風間にとってもよかったのではないか。堂々とした印象と「異端のジャニーズ」としての個性をアピールできたからだ。これもまた、ウィンウィンの関係といえる。

 つまり、MC同士の場合はもとより、MCとゲストという状況でもマツコは利用価値が大ということ。それは芸人だろうとジャニーズだろうと変わらない。マツコを制す者はバラエティーを制す、である。 

PROFILE●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。