ヒアルロン酸を注入する方法も

 さらに自浄作用が著しく低下しているので、おりもののにおいもかなりきつくなる。

「不快症状がひどければ、慢性の膣感染症や尿路機能障害にもかかりやすくなるので、婦人科での受診がおすすめです」

 多くの人は、“年齢を重ねれば萎縮は誰しも起こる”とやりすごしている場合が多いというが、QOL=生活の質を向上させるためにも、受診がベスト。

 女性ホルモン(エストロゲン)の減少とともに起こる膣萎縮や乾燥。治療はホルモン補充療法(HRT)や、薬による局所療法が一般的だが、最近は美顔ケアのようなレーザー再生術『モナリザタッチ(R)』なども登場している。

「これは膣内にレーザーを照射し、乾燥やかゆみ、性交痛、排尿障害を改善するもの。30分程度の施術ですむので、注目度も上がってきています」

 さらには、女性器のたるみやシワの改善にヒアルロン酸を注入する方法もあるという。

「さまざまな治療法が出てきていますが、まずは前出の保湿ケアを習慣化させるのがいいですね。加えて骨盤底筋を鍛える運動もしてみてください。膣まわりの血行が改善しトラブル解消に効果的ですよ」

【40代以降で希望者が増加!“介護脱毛”】

 介護されるときに排泄後のふき取りや清拭で迷惑をかけないためにと、アンダーヘアを脱毛することを“介護脱毛”という。自分の老後を想定し、更年期前後の女性でこの処置をする人が増加傾向にある。

「更年期前後は自浄作用が衰えるため、細菌に感染しやすくなります。ヘアがなければ、汚れが停滞しにくく、さまざまなトラブルも回避しやすくなります」と池下さん。

 とはいえ、脱毛は毛抜きで処理するのは絶対NG。必ず専門の医療機関で行って。

デリケートゾーンの脱毛は3種類。一般にVIO脱毛と呼ばれ、Vはビキニライン、Iは陰部の両側、Oは肛門まわりのゾーンを指す。 イラスト/上田惣子
デリケートゾーンの脱毛は3種類。一般にVIO脱毛と呼ばれ、Vはビキニライン、Iは陰部の両側、Oは肛門まわりのゾーンを指す。 イラスト/上田惣子
【写真】人には聞けないデリケートゾーンの洗い方をイラスト付きで解説。要チェック!

(取材・文/樫野早苗)


《PROFILE》
池下育子さん ◎産婦人科医。いけした女性クリニック銀座 院長。心と身体の不調に悩む女性のアドバイザーとして、働く女性を中心に大きな支持を得ている。『子宮を温め健康になる25の習慣』(新星出版社)など著書多数。