類似の事件の感想は「もったいない」

 座間事件後、類似の事件が起きている。’19年9月、Twitterで知り合った自殺願望のある女性(享年36)を、大学生(当時22)が殺害したとして懲役5年を言い渡された。被告人尋問を傍聴したが、大学生は「自殺願望者の力になりたかった」と話していた。

「(被告は)学校の先生になりたかったんですよね。うーん、なんで殺したんだろう。大学まで行ってもったいない」

 また、今年7月、ALS患者の女性(享年51)が、安楽死を希望し、Twitterで知り合った医師(42)が殺害したという、嘱託殺人事件があった。京都地検は8月、起訴した。

「報酬が130万円ですよね? 医者だったのに、もったいない」

 類似の事件の感想は、白石被告が起こした事件でも「報酬が50万」「安い」と言っていたが、価値観は、ほかの事件を見ても変わっていないようだ。報酬額で判断している。

死にたいという女性をこのようにして“釣って”いた白石。結局この女性は殺害されないですんだ
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外に出られたら女性と性行為をしたい

 最後に、「外に出られるとすれば、何をしたいのか?」を聞いてみた。

「女性と性行為をしたいですね。好みは、橋本環奈と深田恭子。

 あんなに旺盛だった性欲が今は、ほとんどないんです。拘置所内で自慰行為は週1回する程度ですね。女性と会っていないからネタがないんですよ。女の人を触りたいですねぇ。レイプを思い出すこともないですし、あまりもう(勃起もしない)」

 ヘラヘラした様子でそう答える。

 好みの女性の話に及んだとき同席していた女性編集者に、「Kさんおきれいですよね」とネットナンパ師だった過去の面影を見せた。

 白石被告は事件の背景となったスカウト時代から最後まで「お金と性」を欲していた。

 裁判では起訴事実は認める方向のため、死刑を覚悟しているようだ。性への執着は強いが生に対しては投げやりに見える。それでも「外に出られるなら食べたいもの」の話には食いぎみで、

「ラーメン、辛いのが食べたいです。あとは焼き鳥! 寿司!」と前のめりに話した。

 裁判では、まだ話していないことが明るみになるのだろうか。


取材・文/渋井哲也
ジャーナリスト。長野日報を経てフリー。東日本大震災以後、被災地で継続して取材を重ねている。『ルポ 平成ネット犯罪』(筑摩書房)ほか著書多数。