未来の出来事を予言するかのようなセリフも

 なぜ野木ドラマは私たちの感情を揺さぶるのか。

多くの人が感じていながら言葉にできず、もやもやとしている気持ちや、今の社会のおかしなところを抉り、セリフとして提示してくる。これも野木脚本が支持される理由のひとつでしょう」

 と成田さん。加えて、

未来の出来事を予言するかのようなセリフがあるのは、やはり普段から社会で何が起きているのかをしっかりと見据え、その先を描こうとしていることの証拠で、男尊女卑社会を鋭く斬るセリフも野木脚本の醍醐味。

 そして、これらをエンタメ作品へと昇華できるのがすごいところですね

 また野木さんが脚本を担当した、小栗旬と星野源が映画で初共演する『罪の声』も10月30日から公開を控えている。

 秋の夜長、野木作品にどっぷり浸かってみてはいかが?

編集部おすすめ野木ドラマ4選!

■『逃げるは恥だが役に立つ』(’16年10月~TBS系)

出演/新垣結衣、星野源、石田ゆり子ほか

海野つなみ氏による漫画原作。職なし彼氏なしの主人公・森山みくり(新垣)が、恋愛経験のないサラリーマン津崎平匡(星野)と、あることがきっかけで仕事としての結婚をすることに。エンディングで流れる“恋ダンス”が大ヒットした。

■『アンナチュラル』(’18年1月~TBS系)

出演/石原さとみ、井浦新、窪田正孝、市川実日子、薬師丸ひろ子、松重豊ほか

完全オリジナル脚本。舞台は設立して2年弱の不自然死研究所(通称UDIラボ)を舞台に展開。毎回さまざまな死を扱いながら、その裏側にある謎や事件を解明。1話はまるでコロナを予言していたかのようなストーリー。

■『MIU404』(’20年6月~TBS系)

出演/綾野剛、星野源、岡田健史、橋本じゅん、麻生久美子、菅田将暉ほか

警視庁“機動捜査隊”(通称・機捜)で、綾野・星野がバディを組み24時間というタイムリミットの中で犯人逮捕にすべてをかける。毎回事件を扱いながら、それぞれの心の奥にある問題に鋭く迫る。菅田将暉のぜいたくな使い方にも注目!

■『獣になれない私たち』(’18年10月~日本テレビ系)

出演/新垣結衣、松田龍平、田中圭、黒木華、田中美佐子ほか

完全オリジナル脚本。人生うまくいっているようで、ままならない2人(新垣、松田)が仕事終わりのクラフトビールバーで偶然出会い、それぞれの問題を描いていく。ガッキーがパワハラで壊れていく演出が「怖いっ」と話題に。


<選んでくれたのは>

成田全 昭和生まれのライター。ドラマの現場取材や記事を数多く担当。最近『北の国から』『前略おふくろ様』『澪つくし』にハマり中。

エスムラルダ 昭和生まれのドラァグ・クイーン、ライター、脚本家。小学生のとき、大河ドラマ『おんな太閤記』(橋田壽賀子脚本)にハマり、以後、ドラマフリークに。

神奈月らら 昭和生まれの地方在住ドラマウォッチャー。ネット上でエスムラルダによって発掘された期待の新人。