「もう誰にも不妊だって言えないよ」

 ただでさえ不妊は他人に言いづらい個人的な問題。それでも昨今は、不妊治療についての理解を広める声が上がり、職場では周りの理解が必要ということもあって、前よりオープンにしやすい環境になってきた。しかし、今回の件で「もう誰にも不妊だって言えないよ」(ツイッターより)と言った声があがったのも事実だ。

 ほかにもネットでは、こんな戸惑いの声が聞かれた。

<心から妊娠を切望しても叶わないでいる方々の身になって>
<こんなに偏った考えで無茶苦茶なレッテル貼って人を判断してる人いたんだ>
不妊治療中、なんで普通に授かれないんだろう、こんな思いをしないといけないんだろうと苦しんできました。堕胎経験があるせいだなんて言われたら悔しい通り越して悲しい
不妊で苦しんでいる奥さんが、旦那に堕胎経験を疑われるような事になるのでは……> 

 また、番組の質を問う声も止まず、

<他の番組もだけどコメンテーター選ぶならそこそこ専門の人や経験者の方がよくないか?>
<番組もデヴィ夫人も否定しなかった他の出演者も許せない。 知識もないのに情報番組なんてやるなよ>

 と、批判の声は収まる気配がない。

 そもそも、デヴィ夫人は出産に対して強い思いがあるように思う。自身の著書『選ばれる女におなりなさい デヴィ夫人の婚活論』(講談社)を出版したときのインタビューで、「出産を推奨する人をバッシングするべきではない」という流れからこう答えている。

「私はインドネシアに行ってからなかなか妊娠しなかったんですけど、女として生まれて、妻になることができて、母になることなく死ぬというのは、とても悲しいことだと思っていました。だから、妊娠を知った時は至上の喜びでした。その喜びを知らないままいるということは、不幸だと思います。生みたくても産めない人がいるのに……というのは屁理屈ですね。人口が減ったら日本は滅びますから。」(『あなただけに言うね:telling,』インタビューより抜粋)

 なかなか妊娠しなかった経験があるならば、なぜそんな悲しい発言ができてしまったのか。そのつらさがわかるのならば、不妊治療を続ける人たちに励ましの言葉を送ってほしかったが……。人気者である以上、自身に影響力があることを踏まえて、発言してほしい。