低視聴率ドラマを辛口ぶった斬り!

 ここで最近、何年かで低視聴率だった刑事モノを吉田さんに振り返ってもらった。まずは2010年に単発ドラマとして、竹内結子さんが主演して人気が出た『ストロベリーナイト』のキャストとスタッフを一新した2019年の『ストロベリーナイト・サーガ』(フジテレビ系)。平均視聴率は6.6%。

「これは前シリーズが完璧な布陣で制作されていた反面、新バージョンは失礼な言い方だけど“劣化版”みたいになっちゃった(笑)。

 連ドラから7年たって、竹内結子さんではなく二階堂ふみ、西島秀俊ではなく亀梨和也って……。原作の誉田哲也が描く女刑事モノが好きな人は、基本、大人です。そこにジャニーズを入れたらダメでしょ。ジャニーズモノにしたのが最大の失敗。

 竹内さんに恋心を抱く西島秀俊という構図がよかったんですよ。『右では殴らない』『ソウルケイジ』といった前シリーズと同じストーリーもあって、竹内さんと比べられるふみもかわいそうでしたね」

竹内結子さん演じる姫川も人気!映画化もされた『ストロベリーナイト』
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【写真】“テッパン”刑事ドラマなのに低視聴率なドラマたち

 同じ“女刑事”というくくりでは、2014年の『東京スカーレット~警視庁NS係』(TBS系)。平均視聴率は6.5%。

「オリンピックで増えるインバウンドたちの、東京に対するネガティブなイメージを払拭するために、NS係なんて部署を警視庁が作った、という設定がまずわからない。しかも、女性起用といいながらも、NS係はキムラ緑子と水川あさみのみ。

 生瀬勝久ほどの名優に何の面白みもない、鋭い刑事をやらせて、事件を説明させるような展開もどうなの? 菅原大吉、近藤公園と名優をここまでそろえたのに、キャラ設定が面白くないし脚本も面白くなかったというのが致命的。このドラマは俳優のムダ遣いでしたね

 吉田さん個人としては好きだったが、どうして数字がとれなかったのかが謎、と話す2017年の『刑事ゆがみ』(フジテレビ系)。平均視聴率は6.5%。

「主演が浅野忠信と神木隆之介で、ゲストに斎藤工や中川大志、新田真剣佑、オダギリジョー! 二階堂ふみも出演していて、豪華な俳優陣。痴漢冤罪の弊害に、女教師と男子生徒の恋、聖人君子の夫が家ではDVをしていたり、娘を犯した鬼畜な父親……。

 一筋縄ではいかない犯罪を違法不法おかまいなしの捜査をする浅野と、こまっしゃくれた童貞の神木のコンビ。先入観と正義感では解決できない事件が多くて、わかりやすい勧善懲悪ではなかったところがいけなかったのかしら

『刑事ゆがみ』(フジテレビ系、'17年)
『刑事ゆがみ』(フジテレビ系、'17年)

 オリジナル脚本で評価はしたいけど……と、あげたのが2019年の『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』(日本テレビ系)。平均視聴率は8.1%

「『3年A組』が当たったので、その流れを酌んでそのまんまというノリはわかる。でも『3年A組』は学園モノで、今の若い子の気持ちや感覚を全部くみ取ったからウケたわけです。それを刑事モノに引きずり込んでもね……。

 しかも警察が作っている闇の組織があって、人体実験で超人ハルクみたいなのを作り出していたなんて、もうこれは刑事モノといいつつSFですよ(笑)。単純な、犯人を捕まえるという王道的なドラマではなく、オリジナルでよくここまで作ったという意味では評価したいという人はたくさんいます。

 でも、いろんなことを入れ込みすぎじゃありませんか、と。主演の賀来賢人は何でもできる人だけど、どう演じたらいいんだろう、と悩んでいたんじゃないのかな(笑)」