生活習慣の改善【1】朝食を抜く

 生活習慣の改善ポイントは、血行促進と身体の酸化を防ぐこと。食事に関しては“質のよいものを少量”が傷ついた目の修復&アンチエイジングに効果を発揮するという。

「長年の臨床経験からも、食べすぎを続けていると目の病気は治りにくいと感じています」

 少食のメリットのひとつ目は、抗酸化作用が高まること。2017年の研究では、遺伝子的に緑内障リスクを抱えるマウスが1日おきの絶食を行ったところ、体内でケトン体が増えて抗酸化作用が上昇。緑内障の進行がおさえられたと報告されている。

「大食い自体が激しい運動をするのと同じくらい体内で活性酸素が増える行為。老化を早めるので、年齢を重ねるほど少食を心がけたほうがよいといえます」

 食事によって増加する活性酸素量が抑えられるため、血流が良好になり、血液と血管がきれいに保てる作用も。

 さらに、少食は身体の修復に必要なホルモンの分泌を高め、目の組織の修復や病気の回復を促進する。体内の過剰なタンパク質を分解して活用する「オートファジー」という仕組みが活性化し、病変が消滅することもあるという。

「摂取エネルギーが少なくなり、長寿をもたらす“Sir2”という遺伝子が活性化。老人性白内障の抑制効果も期待できます。少食は目だけでなく、全身のパフォーマンスを高め、アンチエイジングにも役立ちますね」

■1日の食事量30%オフを目指す

 はじめに3食を腹八分目の量にし、慣れたら1食を抜く習慣に。1日の食事の30%をカットすることで、大きな変化が見込める。1日のどの食事を抜いてもよいが、食べない時間がいちばん長くなる“朝食抜き”が、最も効果的だ。夕食後から昼食までがプチ断食状態となる。

「量より質にこだわり、バランスのよい食事を心がけてください。少食にすると便秘になりがちなので、食物繊維が多い玄米、豆類、野菜をしっかりとること。玄米は、満腹感も高めるのでおすすめです。また、肉は黄斑変性症の原因とされる慢性炎症を助長するといわれているので控えめに」

■朝食を抜くと、糖尿病や動脈硬化の危険が高まる?

「急に朝食を抜くと、昼食・夕食で大食いになってしまい、血糖値が乱高下して糖尿病などのリスクを高めます。必ず3つの段階を踏んで行いましょう」

 まずは、間食と夜食をやめる。慣れたら3食を腹八分目に。

「腹八分目にすると体重が減っていきますが、続けるうちに体重減少の停滞期がくるので、それから朝食抜きに移行してください。特に、60代以降の人が急に朝食を抜くと健康に支障をきたす場合があります。無理せず始めましょう」