専門家が口をそろえる要注意エリア

 だが複数の専門家らが口をそろえ危険を指摘する地域がある。冒頭の女性が直面した東北地方の太平洋沿岸部だ。

 特に前出の村井名誉教授は「要警戒レベルが高いエリアだ」と訴える。

 理由を尋ねると村井教授は、自身が発見したミニプレート理論をもとに説明してくれた。ミニプレート理論とは日本の地面を複数のミニプレートに分け、その動きによって地震を予測するもの。

 宮城県や岩手県の大部分が乗るミニプレートをAとする。Aは東日本大震災で海側に80センチ以上も沈下。10年かけて65センチ隆起したが完全には戻らずなおも隆起を続けている。

 Aは青森県などが乗るB、福島県などが乗るCとそれぞれのミニプレートと隣り合う。B、Cは震災で20センチほど沈降したが、現在は震災前の高さにまで隆起。だが、Aとの間で約20センチの高さのひずみがたまっていると考えられ、このひずみが大きな地震を起こす原因となっているとみられるという。ミニプレート内の土地の沈降後は大きな地震の発生が観測されていたり、境界でも地震が発生している。

大切なのは刻々と変化を続ける日本列島の『健康診断』を行い、異変を発見すること」(村井名誉教授、以下同)

 そこで測量の視点と専門技術を生かした予測方法を確立。ミニプレートの移動だけでなく地殻の異常変動や異常な電磁波、音波などの間接的な地震の前に現れる現象を観測する。それらは地上だけでなく観測衛星など8つの手段を用いていることも特徴だ。

 村井名誉教授が会長を務める『地震科学探査機構』ではこれらを運用し、独自の予測システムを構築した。