楽なはずの愛人契約に
大切な時間を奪われて

 交際クラブで再会したパパは、従業員150人ほどの特殊な資材を扱う会社の50代の経営者だった。銀座の高級鉄板焼きの店で肉を頬張っていると、月20万円で愛人になってほしいと申し込まれた。

「コンスタントに入ってくるお金が魅力的でした。ゴルフや温泉、海外旅行にも連れて行ってくれるというので、ステータスの高い遊びができると思いました」

 愛人契約を承諾すると、最初は1か月に2回ほどのデート。「1回のデートで10万円なんてラッキー!」と喜んでいた美優さんだったが、だんだん憂うつになってきたという。

「翌月から、1か月に最低3回呼び出されるようになって。ホテルの部屋ですぐに身体を求められ、就寝の前にまた1回、翌朝また1回と、1度のデートで3回のセックスです。しかも相性は最悪。ただただ苦痛でした」

 50代で性欲の強いパパにうんざりした美優さん。でも愛人契約に縛られ、2月と6月はカジノ好きのパパに同伴してラスベガスやフランスなど海外へ。4泊5日の旅行では、計10回も求められた。パパの絶倫ぶりに、美優さんは心の中で悲鳴を上げていた。

「しかも“ほかの男と会うな”と束縛してきました。スマホをチェックされたこともあります。さらにパパは半年先の予定を組むため、実家の法事など急な予定が入ると不機嫌になってしまうんです。思いやりがないパパにお金で縛られている自分が嫌になって、自己嫌悪に陥ったこともありました」

 ついに3年目、「疲れるから愛人をやめたい」とパパに訴えた。しかし「疲れることなんかしていないでしょう」と開き直られ、さらに「黙って従ってくれればいいんだよ」とスルーされたという。

「あっさりスルーされてから、私自身の気持ちの行き場がなくなってしまいました」

 美優さんは頭を抱えた。パパには有名私立大学に在学中の息子と娘がいた。妻は専業主婦でセックスレスだという。家族愛でつながっている妻とは別れずに夫婦関係をキープしている男にとって、愛人は遊びの相手で、セックスのはけ口だった。美優さんはそれに気づくと絶望したという。

「お金と引き換えに身体だけでなく、30代の貴重な女の時間を差し出してしまったと後悔しました。今度こそ別れようとした矢先、突然パパから別れを切り出されたんです」