●ブースター摂取を受けると免疫機能が低下?

 欧州医薬品庁は1月11日に「ブースター接種を受け続けると免疫機能が低下する」という警告を発した。日本でもブースター接種は始まったばかりだが……。

「これまでにどのmRNAワクチンも短期間のうちに3回、4回と繰り返されたものはないため、実際に免疫体系にどれほどの負担がかかるのかといったデータはなく、あくまでも推測の域ではあります。3回目の接種は10週後には有効性が45~50%まで下がると報告がなされており、かといって際限なくブースター接種を繰り返すわけにもいきません。医療体制的にも接種する人の負担の点でも、ブースター接種をずっと続けることは現実的ではないですね」

●インフルエンザとの同時感染で重傷者が増える?

 コロナとインフルエンザの同時感染、通称「フルロナ」の例は世界中で確認されている。同時流行も警戒されるなか、そのような事態は実際に起こりうるのだろうか。

「新型コロナウイルス流行の直後、中国・武漢の重症患者の半数がインフルエンザにも感染していたという研究結果が出ており、重複感染は実際に起こりえます。当院でもフルロナの患者を1例経験しましたが、その方は若い男性で軽症でした。重複感染による全般的な致死率への影響はないという指摘が出ている一方、長崎大学の基礎研究では重複感染すると肺炎が重症化・長期化する可能性が示されています。両ウイルスは症状や感染抑制に向けた対策などで類似点があるため、これまでと同様の適切な予防を心がけることが大切ですね」

●コロナが普通の風邪になる日は来る?

 新型コロナが季節性インフルエンザと同じ5類感染症に引き下げられるのはいつ?

「たしかに軽症の割合が増えてきており、これで2類感染症のままというのは厳しすぎるとは思います。ただ、新薬や3回目接種、オミクロン株がどこまで重症化しないかなどを踏まえて検討していく必要があり、オミクロン株が爆発的に増えている中、“コロナはただの風邪”と呼べる日が来るのは、本当に残念ですがまだまだ先になりそうです」

 新型コロナの不都合な真実。落胆せずにいましばらく向き合っていく覚悟を強いられている。

お話を伺ったのは
土屋 裕先生 日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医。昭和大学の関連病院や海外で20年ほど活躍し、2020年に『豊洲 はるそらファミリークリニック』(東京都江東区)を開業。発熱外来、コロナワクチン接種も実施。

取材・文/吉信 武