発熱外来を実施する医療機関は、検査機器を所有し院内でPCR検査を行っているところと検査を外部委託しているところの2パターンがある。PCR検査の外部委託は1検査あたりのコストも高いため、これまでは1800点で設定されていたが、12月31日からは1350点になり、4月からは700点になる。

「保険点数が1800点と高めに設定された理由は、PCR検査を行う医療機関を増やしたいという国の意図があったから。確かにPCR検査を行う医療機関は増えましたが、今回の診療報酬の改定で、梯子をはずされたクリニックも多いでしょう

発熱外来の予約電話が鳴り止まない

 委託以外の検査はこれまで1350点だったものがそのまま12月から700点になった。ここまでの大きな引き下げが、この早さで決まるのは異例だ。

「保険点数は1点につき10円の換算です。これまでの1800点は高すぎるようにも見えますが、検査には試薬やキットなどの材料費、検査時の防護服や発熱外来の設備維持費、外部委託の検査代などさまざまな経費がかかります。そこに加えて、検査に伴うスタッフのリスクまでを考えると正直あまり実状に見合った点数とはいえませんね……」

 発熱外来でPCR検査を行っている中小の医療機関にとっては特に負担が増える結果となった今回の改定。政府としてはPCR検査の件数を下げて、より簡便でコストの低い抗原検査にシフトすることで、逼迫する医療費を減らしたいという意図があった。

 しかしタイミングが悪く、引き下げの決定後すぐにオミクロン株の感染爆発が起こり、コロナの検査数も加速度的に増えてしまったのは大誤算だったに違いない。都内でPCRの委託検査を行う会社に勤めているKさんは「昨年の11月ごろと比べて、現在は検査数が10倍以上になっています。なんとかマンパワーでこなしていますが、追いつかないような状況です」と語る。

 保健所での検査体制が追いつかないなか、普段の一般診療との調整をしながら検査を行っているクリニックが果たす役割は大きい。しかし保険点数の改定で、一般の病院などが発熱外来を設けるハードルはますます高くなった。

新型コロナとの〝闘い〟は2年が過ぎているが…
【グラフ】新型コロナの死亡事例を分析したグラフ

 厚生労働省によると、都道府県が指定する発熱外来は全国に約3万5000機関あるが、積極的に「発熱外来」をホームページなどで公表している医療機関は約2万3000機関にとどまっており、一部の医療機関に患者が集中する状況になっているという。

 発熱外来を訪れる人が急増しているため、症状があっても検査や診察を受けるのに時間がかかるという事態が全国各地で起きている。

「当院でも発熱外来の予約の電話が朝から晩まで鳴りやまない状況です。早朝には当日の予約枠がすべて埋まってしまい、診察の申し出を受けられないケースもかなり出ています。電話応対を含め、業務がかなり逼迫している状況が続いています」