しかし、この置き勉のあり方について、文部科学省は2018年9月に 【児童生徒の携行品に係る配慮について】との事務連絡を全国の教育委員会などに通達している。

【授業で用いる教科書やその他教材、学用品や体育用品等が過重になることで、身体の健やかな発達に影響が生じかねないこと等の懸念や保護者等からの配慮を求める声が寄せられている】ことを理由に、小中学校において宿題や家庭学習で使用しない教材、学習用具や部活動用具を学校に置いて帰ることを、つまりは“置き勉”を公に認めたのだ。

 にもかかわらず、『さんぽセル』は現在「お届け3ヶ月待ち」という人気ぶりから察すると、我が子のランドセルを背負う姿に不安を抱いている親も多いということだろう。文科省が重い腰を上げてから5年、「重いランドセル」問題はまだ改善されていないようにも見えるが……。

文科省は置き勉の「実態把握していない」

 文部科学省初等中等教育局教育課に現状、全国の小学校においてどの程度の効果が見られているのかを聞いてみると、

「文部科学省では、実態把握のために全国的な調査等は行なっておりませんので、特段、その後の実態把握はしておりませんが、都道府県においては各市町村の教育委員会に対して、ランドセルや通学のカバンの中身を軽くするように工夫、要請したりというところを聞いております」

 各教育委員会に“置き勉”を勧めてはいるものの、全国2万弱という総数だけに、実際のところは各小学校の実施状況を把握していないようだ。

 では、不要論まで飛び出している現状。そもそもランドセルを購入、使用する必要はあるのだろうか。

ランドセルの購入につきましては特段、文部科学省の方では“ランドセルを使用してください、こういった鞄を使用してください”といったことは定めておりません。学用品の指定については、学校によって様々だと思いますので、各学校に判断をおまかせているところです」

 文科省としては、たとえば新1年生がランドセルを背負わずに、最初からキャリーバッグを購入、使用したとしても問題とはしていない模様。ただ、こちらも“置き勉”同様に、各学校の“学則”に委ねているようだ。