獣医師からの意見

 ちなみにX獣医師は、医療機器事情が原因の誤診を知り、憤った経験を持つ。

「セカンドオピニオンで来院したある猫ちゃんは、不要な心臓病薬などを毎日飲んでいました。どこも悪くないのに、心電図の結果だけで心臓病と診断されたとか。

 犬や猫はじっとしているのが苦手なので心電図の数値がブレやすく、一般的には超音波検査までいって心臓病の確定診断をします。誤診をした動物病院には、超音波検査機器がなかったのかもしれません。

 でも、診断が難しい症例の場合、検査可能な病院を患者さんに紹介すべきです」

 近年、動物医療においても2次診療施設が増加傾向だ。これまでは専門的な治療といえば大学病院が主であったが、現在は民間の高度医療施設のほかに、学会ごとの認定医資格を取得し、呼吸器や目や皮膚など1つの科目を専門で治療する小規模な動物病院も目立つようになった。

「全科において2次診療施設と連携している動物病院は、間違いなく“いい動物病院”。かかりつけ医の業界内でのネットワークの広さと深さも、重視したいポイントです」とY獣医師は言うが、その点に関しては飼い主が獣医師に直接尋ねる必要もあるだろう。

「もし飼い主さんが納得のいく答えが得られない、2次診療施設への転院も含めて治療方針に対する選択肢がなく、治療や薬に関して獣医師からの説明も不足しているといった不安要素があれば、セカンドオピニオンを求めてください」(X獣医師)

 獣医師もひとりの人間なので、飼い主との相性がある。また、詳細に検査をして確定診断を下す方針の動物病院もあれば、飼い主の金銭的な負担などを考慮し、必要最低限の検査しか行わない方針の動物病院もある。インターネット上の悪い口コミ評価は、鵜呑みにせず、あくまでも個々の飼い主と獣医師との相性や診療方針が合わなかった可能性があると認識しておこう。

「飼い主自身が、どのようなタイプの動物病院を求めているかを明確にしておくことが大切です」(Y獣医師)

 そのうえで、ワクチン接種や寄生虫予防薬の処方を受けるのがメインのかかりつけ医、持病の治療がメインの医療設備の整った動物病院、必要であれば2次診療施設と、複数の動物病院を使い分けるのもおすすめ。都心部では往診を行う動物病院も増えているので、ペットの性格や飼い主のライフスタイルに合わせて選ぶのも手だ。

 愛するペットの心身の健康を守るために、飼い主の“見極める力”も問われている。

動物病院のココをチェック!】
 いい動物病院を探しているなら、かかる前に以下の8点を確認しておこう。愛犬や愛猫が元気なうちにベストな病院を見つけておくと安心だ。
□ホームページに獣医師やスタッフの顔写真の掲載がある
□獣医師が学会などに所属している
□頻繁なスタッフの入れ替わりがない
□ホームページがスマホ対応である
□病院内や外の植物の手入れがされている
□院内が清潔で臭わなず、整理整頓されている
□医療機器が古くない
□獣医師が質問に対して詳しい。説明をしてくれる

(取材・文/臼井京音)