スイスでは乳がんマンモグラフィ検診が廃止

 スイスでは2014年に乳がんマンモグラフィ検診が廃止と決まった。しかし、その情報は日本で広まっていない。

乳がんだけではありません。前立腺がん検診は、そもそも欧米諸国ではほとんど実施されていません。前立腺がん検診はPSA検査という腫瘍マーカー検査が行われ、米国では盛んな時期もありましたが、2012年、政府機関が前立腺がん検診への“反対”を推奨、カナダでも2014年に反対を推奨している。つまり“検診を受けるな”ということです」

 なぜ検診に反対するのか? その理由は死亡率にある。

乳がんも前立腺がんも検診で死亡率が減るどころか上昇していることがわかったのです。乳がんは、乳房を切除したり再建手術を行ったり、患者さんの苦痛は大きい。前立腺がんの手術も、結構な割合で排尿障害や勃起障害が発生します。男性機能を喪失する大きなリスクを伴い、さらに死亡率も高まる。この現実は欧米では認知されています」

検診受診率が上がると急増するがん患者

 子宮頸がんや前立腺がんが増えているというニュースを耳にすることが多い。しかし、そこにもカラクリがある。

「検診率が増えたら、がんと診断される人は増える。実際に子宮頸がんは、検診が国策となった'80年代から急増しています。発見数の倍率でいうと、1975年と2012年を比較すると20代前半が27倍、20代後半はなんと37倍です。さらに、死亡数は検診がスタートした時期から急上昇し、およそ3倍に上昇しました。

 実は、子宮頸がんによる死亡数は戦後から減少傾向にあり約3分の1ほどに減少していました。ところが、検診が国策になったときから再び上昇し、およそ3倍に膨れ上がり、現在は戦後と同じ状況になってしまったのです」

 早期に見つかれば、早期に治療できるので死亡数が減るのではないか、と考えるがそこにあったのは……。

「治療死です。手術と抗がん剤による死亡です」

 病気の治療のはずが、死に至るとは?