食中毒の恐ろしい症状

 その症状は……。

「2日〜7日と比較的長い潜伏期のあとで、発熱、倦怠感、筋肉痛などに次いで吐き気、腹痛、1日に10回以上に及ぶ下痢が1日〜3日程度続きます」

 しかし、これらの症状が治まったとしても……。

「その後も怖い。食中毒の発症後、ギランバレー症候群という運動麻痺、呼吸麻痺を伴う合併症が現れることがあります。ギランバレーの発症は遅く、食中毒の発症から2週間程度、1か月後に現れることもあります」

 '16年、兵庫県の飲食店で同じくカンピロバクターによる食中毒が起こった。鶏ささみのたたきを食した男性はその後、ギランバレー症候群を発症。四肢の麻痺により後遺障害1級と認定され、1億円を超える損害賠償金で示談となっている……。

「予防としては、鶏刺しなどの生状態では食べない。鶏肉はきちんと加熱する。また生の鶏肉を触った手でそのまま別のものを触ったりしないことですね」

 和食であれば刺身、洋食であればレア。人間は、“生”を尊んできた。しかし、むやみに「美味しい」だけを求めると、その先に危険な未来が待っていることも……。