当時は結婚をしていた鈴木さん。子宮筋腫があると妊娠がしにくくなることも主治医から指摘されていたが、ちょうど仕事も充実して忙しい時期だったし、夫婦ともども、それほど出産に強い執着もなかったため、筋腫の摘出手術までは考えなかった。

 結婚していた2011〜2015年の間、鈴木さんは、映画とドラマあわせて30本近くに出演。バラエティー番組のレギュラーもこなすなど、多忙を極めていた。

『相棒』のために手術を決意

「40代半ばからは、ピルを処方してもらってのんでいました。月経のコントロールのためと、子宮内膜症も併発していたので、その内膜を薄くする治療として。3〜4年はのんでいたんじゃないかな」

 しかし、40代後半になると、放置していた筋腫のほうが無視できないサイズにまで育ってしまう。2年前の検診では5センチ近くになっていて、おなかの右側あたりを触ると何か固い感触があり、内側にもごろっとしたものがあるのを感じられるほどの存在感だったという。

「これはさすがに……と、投薬治療を始めました。生理もますます重くなっていたし。貧血で顔は真っ白になっちゃうし、経血の量が多いからオムツみたいなナプキンをつけていないと外出もできないから、すごくストレスで。

 筋腫を小さくするというお薬を半年間のみ続けていました。でも、これが値段は高い割に効果がいまひとつ。1か月で1ミリ小さくなるかどうかという感じだったんですよね……

'07年の『相棒−劇場版−』での鈴木沙羽さん(写真右)
'07年の『相棒−劇場版−』での鈴木沙羽さん(写真右)
【写真】14年ぶりにドラマ『相棒』に帰ってくる鈴木砂羽

 かかった治療費は、月に1万円ほど。それでも、子宮筋腫や子宮内膜症の症状は、閉経するとおさまることが多いため、このまま薬で逃げきれたら、とも考えていたという。そんな中に舞い込んだのが、ドラマ『相棒』への復帰の知らせだったのだ。

「また右京さんや薫ちゃんに会えるんだと思うと、とても楽しみでワクワクしました。一方で、これはもう、薬じゃごまかしきれないだろうなと、手術を決心したんです」

 ドラマのクランクインは7月後半。事務所や主治医とも相談して、そのひと月半前の6月、開腹手術に踏み切ったのだ。

12年前、子宮頸がんの手術も受けていた

 実は、鈴木さんにとって子宮の手術は、初めての経験ではなかった。「38歳のとき、子宮頸がんの円錐切除の手術を受けているんです」と、初告白してくれた。

 そのときも、やはりドラマへの影響を最大限配慮し、プロデューサーと相談して日にちを決め、手術を受けたという。NHKの大河ドラマ『江〜女たちの戦国〜』に、寿芳院(秀吉の側室)で主役の江(上野樹里)のいとこという、重要な役割で出演していた時期である。

「別に隠していたわけじゃなく、ドラマの撮影の足を引っぱらないように、の一心でした。手術といっても、ごく初期のものだったので、身体の負担はほとんどありませんでしたよ。子宮の入り口部分をレーザーで円錐状に焼き切っただけ。入院も2日ほどだったと思います」