死を意識するからこそ、今を無駄にしたくない――自分の年齢への焦りは、岸にも感じられる。

「King & Princeは顔面偏差値の高さが強みと言われてるけど、僕の顔面には期限があるんで」(『STORY』2018年6月号)と、いつかは年齢を経て、ビジュアルのみでは通用しなくなることを強調。その意識は「自分のビジュアルには限界があるから、別にアピールポイントを持っておかないといけない」(『ポポロ』2018年11月号)と、自分の強みを磨いていこうという発想に行き着いた。

 彼らのこういった発言からも、「若いうちに成長しなければならない」という意識がとても強かったことがわかる。

「調子に乗らない」岸、「メンバーに寄り添う」神宮寺

 今回、岸は「器用さが自分にはなく、だんだんと夢と目標に自分の実力の差とギャップを感じるようになっていきました。そして、海外で活躍できるグループになるためには今のままでは到底無理だと感じるようになってきました」と語っていた。

 日本では十分売れているんだし、いいじゃない……と思う人もいるだろう。「King&Prince」の前身となるグループ(「Mr.KING(平野紫耀永瀬廉高橋海人)」と「Mr.Prince(岸優太神宮寺勇太、岩橋玄樹)」の2ユニット)が結成された2015年、ジャニーズJr.として注目が高かった岸は自分を戒めるように、こう言っていた。

「調子に乗ったら終わり。目立つ場所なんてまだたくさんあるし、ここで納得したらダメ」(『STORY』2015年9月号)

 その謙虚な自己評価と、世界進出という高い目標が組み合わさったとき、岸と平野の2人は、自分のいる場所と目標地点との差の距離に愕然としたのかもしれない。

 神宮寺はどうだろうか。彼は今回、「メンバーがこの先一人でも退所する話が出たときに、自分も退所することを決めていた」と語っている。

「この先一人でも」という発言から思い起こされるのは、2021年にキンプリから脱退した岩橋玄樹のことだ。ジャニーズJr.時代から、岩橋が全幅の信頼を寄せていたのが神宮寺だった。

 岩橋はパニック障害を患っていることを公表していたが、デビューの約半年後から休養し、その後脱退することとなる。彼はそもそもが「生きづらさ」を抱えた繊細な人だった。

 ジャニーズJr.としては珍しく、中学時代にいじめられていたことを告白し、「中1になるとみんな言葉とか悪くなるじゃないですか。普通なんですけどあっちは、でも傷ついちゃうみたいな」と、周囲と自分との感覚の差を吐露していた(日本テレビ「リアル×ワールド ~ジャニーズJr.の真実~」2012年9月30日放送)。