ドラマを制作しないスタッフを集めて生まれた苦悩

「清野菜名さんにオファーしたものの、3月に第1子を出産したばかりとあり、断られてしまったそうです。村瀬Pは『信長協奏曲』での夏帆さんも高く評価していたため、清野さんが無理なら彼女しかいないと考えたみたいです」(同・フジテレビ関係者)

 緻密なストーリーの伏線や映画のように美しい映像も、『silent』が人気の理由のひとつ。村瀬Pもウェブメディアのインタビューで、

《カメラマンや、照明、録音などにはCMや映画畑のスタッフを集めました》

 と語っているように、普段はドラマを制作しないスタッフが集められたことで、こんな苦悩も……。

ドラマよりも余裕のあるスケジュールで進行することが多い映画畑のスタッフと、村瀬Pのこだわりの強さもあり、スケジュールがかなり押しているんです。第1話のラストで、元カレの想の耳が聞こえなくなったことを知り、紬が涙するというシーンは30分以上かけて撮影。川口さんは10テイクほどトライしたといいます」(制作会社関係者)

 強いこだわりが作品のクオリティーの高さにつながっているのは間違いないが、一部の俳優やスタッフたちからはブーイングも起きているようだ。

「かつては徹夜も当たり前だったテレビ業界ですが、'19年4月に施行された『働き方改革』もあり、深夜でなければ成立しない撮影以外は、終電前に終わるのが一般的になりました。しかし『silent』は撮影が深夜に及ぶこともザラ。今期いちばんの話題作になったことで俳優やスタッフたちもモチベーションを維持できていますが、撮影も終盤に差しかかり、みんなかなり疲弊していますね」(同・制作会社関係者)

 主人公が同じ服を何度も着回すなど、地に足のついた現代の若者をリアルに描いていることも、視聴者の共感を呼んでいるポイント。しかし、村瀬Pのお金のかけ方はというと……。

「撮影に使用する照明などの機材は映画で使用するものを使っていたり、小道具にもこだわりの高級品が使われていたりするため、通常のドラマより経費がかなりかかっています。加えて撮影が深夜に及ぶことも珍しくないため、タクシー券も次から次に使用している状態。局側がクランクアップまでにこれでやりくりしてほしいと、まとまった数のタクシー券を村瀬Pに渡したそうなのですが、序盤の撮影ですべて使い切ってしまい、局の上層部から注意を受けたと聞いています」(前出・フジテレビ関係者)