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ー 税金が注がれ続ける『新国立競技場』維持費
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ー コンサート会場としては不人気

●建設費用=約1569億円。
●年間維持費=約24億円(今後50年間の見通し)。

 これは『2020年東京オリンピック・パラリンピック』(21年7月23日〜9月5日開催)のメイン会場として作られた『新国立競技場』に“かけられた金”と“今後もかかっていく金”だ。

税金が注がれ続ける『新国立競技場』維持費

 東京2020のオリパラについて、広告最大手の電通など6社と関係者7人による“入札談合事件”が取りざたされているが、オリパラに関するカネの問題は、今でも国民の税金が注がれ続けていることにある。

 新国立競技場の所有者は文部科学省所管の『独立行政法人日本スポーツ振興センター(略称:JSC)』である。

「JSCの理事長だった河野一郎氏は新国立の五輪後の利活用について“国の機関として、商業的にペイしないイベントでも開催する”と話していました。しかし採算以前に、商業的にペイしそうなイベントも、ペイしそうにないイベントも、どちらについても利用数が非常に少ないのが現状となっています」(スポーツライター)

 現時点で決まっている新国立競技場でのイベント開催は以下となる。()内は開催数。

【3月開催】
サッカー日本代表(1試合)
・学生の競技会など陸上関係の大会・イベント(3回)
・参加費無料の『東京2020』の“レガシーイベント”(1回)

【4月開催】
サッカー『JFL』(1試合)
・都の陸上競技選手権大会(1回)
・一般企業の入社式(1回)

【5月以降開催】
サッカー『Jリーグ』(8試合)
・ラグビー『リーグワン』(1試合)
・マラソン関係イベント(1試合)

「2月はスポーツイベント自体が少ない時期ではありますが、陸上イベントが少々入っていたくらいでした。スケジュールを見ればわかるとおり、新国立競技場の運営資金は、ほぼサッカーに頼っているという状況です。ドル箱といえるサッカー日本代表戦はチケットが完売し、高額転売も出ているほど。

 新国立競技場側にも入場料の一部が入ってきますし、日本代表戦は広告収入も大きく、その広告掲出料も入ります。

 しかし陸上関係の大会・イベントは収益性が低く、利益がほぼない。Jリーグは今年リーグ創設30周年ということで、新国立で“記念試合”が複数開催されますが、東京都にも新国立にも関係ない地方のチーム同士が対戦する試合があるなど、無理やり開催しているような試合もあります。

 都内でアクセスも良いので入場数は多くなりますが、試合のチケット購入などによる利益のあてにされているサッカーファンには、新国立開催の試合を喜ばない人も少なくありません」(前出・スポーツライター)

 新国立でのサッカー観戦についてファンは次のように話す。

「陸上トラックがあるため、ピッチが遠い。1層目のスタンドは傾斜が緩く、観戦しにくいんです。サッカーにおいていちばん熱狂的なファンが集まるゴール裏は、マラソンのゲートがあるためファンが分断されてしまう。

 さらに前後の座席間隔がとても狭く、人が通るたび、立ち上がらないと通れないほど。そのうえ横1列の座席数が非常に多く、一度座ったらトイレに行くのもひと苦労。都民であれば競技場のアクセスだけは最高なんですけど……」

 新国立競技場の維持費は年間約24億円。そのためには使用料その他で収益を上げなければならない。

「Jリーグのチーム関係者には“新国立は使用料が高いから、積極的に試合をしたいと思わない”と話す人もいます。Jリーグ1試合あたり1500万円、日本代表戦になると1試合2800万円ほど。河野元理事長が収益性のないイベントでも開催すると話していたとおり、陸上大会などの使用料はケタが1つ少なくなり1回約100万円程度となるようです。コンサートの場合は1回約5000万円と言われています」(前出・スポーツライター、以下同)